HOME   >>  特集情報TOP  >>  藤(ふじ)袴(ばかま)に魅了された方々にインタヴュー ~原種の藤袴を守り育てる~

イベントカレンダー

リンクページ

アクセス数

カウンタ

藤(ふじ)袴(ばかま)に魅了された方々にインタヴュー ~原種の藤袴を守り育てる~

 

今回の取材は、先日催された「藤袴アベニューてらまち」というイベントに因んで、藤袴を愛してやまないお二方に、絶滅の危機にある植物を守り育てることの意義と、その活動により生まれた地域のネットワークについてお話を伺いました。

 

 はじめに「藤袴アベニューてらまち」の主催・御所藤袴の会会長の谷芳一(たによしかず)さんに「御所藤袴の会」の成り立ちと、「藤袴アベニューてらまち」にかける思いを伺いました。

そして公益財団法人京都市都市緑化協会の企画総務課課長の佐藤正吾(さとうしょうご)さんには、原種の藤袴の発見、守り育ててこられた方々の事などこれまでの成果をお尋ねしました。

 

 一緒にお話を伺ったのは、京極学区の本田水月(ほんだみづき)さん(大学生)です。

 

【谷さんと藤袴の出逢い】

 「御所藤袴の会」は春日学区の地域活動でのお仲間約10人が中心となり、平成27年の6月に結成されました。

最初は副会長の馬場備子(ばんばみなこ)さん、藪下淳子(やぶしたじゅんこ)さんが絶滅の危機に瀕している秋の七草の一つ「藤袴」を守る為の活動グループを立ち上げようとされ、その設立総会のお手伝いをすることになり、藤袴のお話を聞いているうちに、それまで植物に特に興味もなく体育会系だった谷さんでしたが、あっという間に魅了され、気が付けば会長になっていたと、笑ってお話下さいました。

 藤袴が持つ文化的背景、例えば平安時代の文学や、絵画に描かれている事、その時代から生きていた原種(野生種)が京都市内で発見された事などにイマジネーションをかき立てられ、今では藤袴そのものが生きている文化財だとアピールされています。

 

 

f.png

 

御所藤袴の会会長の谷芳一さん,上京区役所屋上にて

 

f1.png

 

フジバカマの香を確認する本田水月さん

 

f2.png

 

藤袴に対して熱い思いを語られる谷さん

 

 

【藤袴アベニューてらまち】

 今まで多くの地域活動に携わってきた谷さんが、これまでの地域活動に抱いてきたのは「この活動は京都でなくても良いのでは?」という気持ちだったそうです。

 ところが「御所藤袴の会」の活動は日々藤袴に水をあげ育てるだけで、王朝文化にふれ、今の都人の一人としての自覚が湧いてきます。1000年前の平安京に想いを馳せて、源氏物語や紫式部と結ばれているようなロマンを感じ、京都に対する時空を超えた熱い思いを実感されるそうです。

 そんな心でつながった会員の一人ひとりが育てた藤袴を持ち寄って、平安時代の群生している風景を作り上げたいという思いを実現したのが、先日の10月3日(土)、4日(日)に催された「第一回藤袴アベニューてらまち」です。

今回は約300鉢が丸太町通から二条通間の寺町通に並びました。期間中にはアサギマダラという日本列島を縦断し,海をも渡るといわれる珍しい蝶も飛来して、イベントの参加者から歓声が上がりました。

 

f3.png

 

f4.png

 

展示されたフジバカマに、アサギマダラが1頭飛来している瞬間

 

f5.png

 

かみぎゅうくんと上京区役所で育てたフジバカマの鉢

 

【百年続くイベントへ!】

 今年の一回目を終え、心はすでに次回へと飛んでいる谷さんの夢はふくらんでいます。

 今回は限られた時間の中でしたので、里親(藤袴の育成者)も限られた人数でしたが、もっと多くの方に参加して戴いて、育て方もレクチャーする機会を作り、将来は街中をステージにして2000~3000鉢を並べてみたい・・・と。

そのためには何よりも地域の地場産業にスポンサーについて頂くなど、地元の皆様にご協力戴きたいと願っておられます。そしてこのように植木鉢一つで参加できるライブ感のある手作りのイベントにしてゆけば、秋と言えば藤袴、御所周辺と言えば藤袴となり、100年続いてゆくのではと、熱く語って下さいました。

 

 

f6.png

 

「藤袴アベニューてらまち」情報コーナーの様子

 

f7.png

 

「藤袴アベニューてらまち」情報コーナーでは京都市内各地の藤袴に関する取り組みを紹介

 

【原種の藤袴とは】

 多くの方が心惹かれている原種の藤袴が発見された経緯などについて公益財団法人京都市都市緑化協会の佐藤正吾(さとうしょうご)さんに伺いました。

今、原種と言って育てられている藤袴は、1998年に富山県中央植物園の研究員の方が西京区大原野を調べていて偶然発見されたものです。

 調べてみると、現在花屋さんなどで見る園芸種ではなく、平安時代以前から京都の山野に自生していたとみられる種類でした。

 その後、その藤袴の自生の群落は残念ながら自然消滅してしまいましたが、乙訓の自然を守る会、大原野森林公園の森の案内人藤井肇(ふじいはじめ)さんが地元の大原野神社などで守り育てられ、後にKBS京都の「守ろう!藤袴プロジェクト」というキャンペーンに繋がってゆきました。

 現在では京都市都市緑化協会とKBS京都が「藤袴と和の花展」なども行い、各区役所・支所のバックアップでなんやかんや「大原野」推進協議会、深草藤袴の会、水尾自治連合会、御所藤袴の会などが多くの賛同者と共にオリジナルの個体の保全に取り組んでいます。

 京都市都市緑化協会などでは植木鉢に挿し芽で育てています。種子は園芸品種や近縁種と交配する危険があるので、作らないようにしているそうです。

 

f8.png

 

 

【京都市都市緑化協会とは】

 今回、円山公園の近くの京都市都市緑化協会の事務所で取材をさせて頂きましたが、そこはまるでプチ植物園!珍しい和の花が沢山育てられていました。

京都府のレッドリストに載せられる絶滅が危ぶまれる植物を守ってゆくことで、かつて身近だった和の花のある暮らし、環境を取り戻してゆきたいと活動されています。

 具体的には講習会などで栽培方法の普及、植物を紹介する冊子の発行、イベントなどで植物の展示等です。

 藤袴のほかに、二葉葵(ふたばあおい)、桧扇(ひおうぎ)、菊渓菊(きくたにぎく)、朮(おけら)、桔梗(ききょう)などが現在保全の対象にされています。

 

f9.png

 

和の花について熱い思いを語る佐藤さん

 

f10.png

 

 

フジバカマの原種(野生種)について熱心に話される佐藤さん

 

【佐藤さんが藤袴に託す思い】

 昔、藤袴は匂い袋にされたり、蘭浴(らんよく)といってお風呂に入れたり、つまり現在のアロマや入浴剤のように親しみのある植物だったと佐藤さんは教えて下さいました。

 今年緑化協会でも匂い袋を作るイベントを行うため、伺った日はちょうど乾燥させるため,刈り取った藤袴を取り入れている最中でした。

 

f11.png

 

乾燥させている藤袴の葉茎の部分

 

f12.png

 

刈り取った藤袴を干す作業

 

 藤袴は日当たりの良い所を好み、また水辺で育つ植物なので夏の水不足は大敵なのだそうです。また冬の寒さにもあまり強くないので、冬越しには増し土や軒下などにいれることも必要と、ある程度手のかかる植物です。

でも都市の中で花を愛で育てることが郊外の自然も大切にすることにつながり、それが地球環境に目を向けることになればと静かな語り口ながら、熱心にお話下さいました。

 

f13.png

 

原種(野生種)の藤袴の前で

 

【感想】

 今回のお話で特に印象に残ったのは、藤袴の育成等を通じて藤袴と関わることが京都で暮らす人々が京都に出来るとてもユニークで一味違った地域貢献であるという点です。近年、地域活性化の形としてご当地キャラクターやご当地グルメなどの取組がありますが、「花」がもつ優美さや「1000年というスケール感」、その静かなロマンチックさが当にこの取組の魅力だなと思いました。

人の興味というのは不思議なもので、あることをきっかけに今まで気にしなかったものが目にとまる、違う眼鏡で世界がみえるというのを、私もいけばなを始めてまだ2カ月程ですが日々実感しています。私は大学3回生21歳になってからお花に惹かれるようになり、いけばなを習い始めましたが、谷さんもこの6月に藤袴の取り組みをはじめられ、その時は実物を見たこともなかったというお話を聞いて、「ある日ふと思い立った」「ある日たまたま藤袴アベニューに通りかかった」というきっかけ、巡り合わせが人の世界を広げてゆくのだなあという気持ちになりました。

 京都で生まれ、京都の大学に通い、府立医大という大学である以上、必ず「地域貢献」「地域への還元」という理念が言われるのですが、藤袴が好きという気持ちがあれば、それを「地域の暮らしを豊かにする」という形に変換して、アウトプットさせてくれる取組があるということの素晴らしさにとても感銘を受けました。

 個人のその気持ちを地域に還元する企画、取組を実現されている谷さんをはじめ御所藤袴の会の方々、行政のバックアップ、情熱や工夫が印象に残りました。

今まですぐそばにいるのになんとなく遠かった「地域」「地域貢献」が「お花・藤袴が好き」という気持ちだけでこんなにも身近に感じられて嬉しく思います。是非私も「ある日ふと」出会ったいけばな、藤袴、御所藤袴の会との御縁に感謝して、来年には自分の手で藤袴を咲かせてみたいと思いました。

 

                    京都府立医科大学  本田 水月

 

 

【感想】

 世の中に「お花が好き」という方はたくさんおられますが、原種の藤袴の事をこんな風に発信されているという行動力に圧倒されました。ですがそれも多くの人の協力があってこそ・・・。たった一輪の藤袴を守ってゆくことでも、こんなにも多くの方の不思議な御縁と協力とがあってこそだと思いました。

 藤袴の何とも言えないはんなりとした姿が京の秋を彩り、何とも言えない奥ゆかしい香りが街中に漂う日が来ることをアサギマダラと共に願い、私も来年は是非育ててみたいと思いました。

                             石川 利佳子

 

レポーター紹介

石川 利佳子(いしかわ りかこ)

 

f14-thumb-250x340-2434.png

 

 

 

 

 

 

 

華道嵯峨御流の教授で京都嵯峨芸術大学の非常勤講師をしています。

京極学区では住民福祉連合会に所属してまちづくり委員会の一環で「きょうごく」という学区の新聞に植物の記事を連載しています。

 仕事柄お花に関するものは何でも大好きですが、お花によって人々が繋がってゆくお話が伺えてとても興味を覚えました。私も華道を通じて地域に少しでもお役に立ちたいと思います。

 

本田 水月(ほんだ みづき)

 

f15-thumb-250x311-2436.png

 

 

 

 

 

 

 

京都府立医科大学 医学部医学科三回生。

華道嵯峨御流を習い始めたばかりです。

 

京都ゆかりの和の花については下記をご覧ください。

「和の花を育て守る」公益財団法人京都市都市緑化協会藤袴(20151005和の花保全概要ver3-2).pdf


新規団体登録

団体登録いただきますと、あなたの団体も情報発信ができるようになります。あなたもカミングを使って情報発信していきましょう。

登録団体のブログ