趣意書
上京の強みである伝統、生活、ものづくりなどの文化を最大限生かして、各種の記念事業を企画・実施する。
記念事業の実現を通して、地域の絆を強めるとともに、行政はもとより、若者、NPO、大学、事業者などとの新たな絆を広げる。
記念事業は、単なる一過性の祭りではなく、未来の上京の発展の礎の一助となる取組とする。
私たち上京区民は、来年3月14日、上京区誕生140周年の嘉節を迎える。
京都市は、平安京が営まれた後も永く都としての地位を保持したことから、世界の中でも、豊富な自然遺産・文化遺産を有する稀有な都市となった。その核となった上京区は、京都市より10年早く誕生し、区民の誇りとなっている。
時代を遡れば、武家社会の到来は京町衆による自治力を育み、明治維新による都市力の低下には、新たに組みなおした町組(現在の元学区)が一丸となって振興策を取捨し、第一に将来を担う人材輩出につながる番組小学校の建設、第二に伝統産業の生産方式を見直しての殖産振興にまい進し、さながら不死鳥のごとくであった。
近年、世界的に持続可能な社会の実現策 (SDGs) が模索されているが、我が上京区においても、人々の生活様式の変容や少子高齢化、人口減少が進み、上京が誇る伝統文化や生活文化、和装産業などのものづくりの力、自治力・地域力の維持が危ぶまれている。
歴史を勘案するに、私たち上京区民は、この140周年を、ただ一過性の祭りとしてではなく、上京区への文化庁の移転をはじめ、改元や東京五輪など大きな変化を迎えるこれからの10年後に向けた新たな飛躍の出発点ととらえ、上京が受け継ぎ、育んできたレジリエンス(復元力)をいかんなく発揮し、文化を基軸に、上京を愛する多様な立場や世代の人々が愉しみながら集う中で、未来の上京を担う人々の絆を広げ、上京の輝かしい未来につなげたい。
平成30年5月吉日
上京区140周年記念事業実行委員会
委員長 上林 研二