2016 年 4 月 23 日(土)~5 月 22 日(日)の 1 か月間 、京都では KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2016 が開催されています。 世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催されるこの祭典は、日本でも数少ない国際的な写真祭として注目されています。 その中で+KG(ケージープラス)は、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭と連携、同時開催することで国際的な写真家やアーティスト、国内外のキュレーター、ギャラリストとの出会いの場を提供するというユニークなもの。 その内容はこれから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に、2013 年よりスタートしたアートプロジェクトです。4回目となる今年は、京都から新たな才能を国際的に発信することを目指し、写真芸術の個展を募集し、 30 ヵ所の写真展が開催されています。中には市民参加型のプログラムを実施し、日常的に文化に親しむ状況をつくるなど、京都市内各所で多様な表現が地域と⼈々をつなげ、新たな交流や発⾒がうまれています。
参考:
KG+ http://www.kyotographie.jp/kgplus/
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 http://www.kyotographie.jp/
KG+では「地域資源の新しい活用の可能性」が選考基準のひとつに挙げられており、展覧会場の独自性が問われていることもユニークです。
上京区内では 4 会場を舞台に開催。今回はそのうちの 2 会場についてレポートします。
会場のひとつである、京町家を改装した ANEWAL Gallery では「Call Of The Void」というタイトルで精神世界から⾒る生命の循環がテーマ。
ANEWAL(アニュアル) Gallery ではアーティスト・イン・レジデンス"AN AIR"が取り組まれており、それと連動した企画として今回立案されました。 そこにはレジデンスの「住」の部分とアーティストの「職」の部分である展示制作を一つの空間内で行う事で、「職・住」が一体となった町家の成り立ちに重ねたいというディレクター飯高さんの思いがあります。 「町家における問題は上京区、京都において既に定常化してしまった感のある話題ですが、私たちは常にその新しい側面や可能性を探ると共にその問題の再提起を行いたいと考えています。」と飯高さん。 展示されているのは、既に NY でアートディーラーが付くなど、将来が期待される気鋭のアーティストですが、日本での活動経験がないながらも、日本人とその地域社会の心理に関心があるそうです。 保守的になりがちな町家の展示空間で、共に挑戦を楽しめる作家であると伺いました。作品展は難しくとらえられがちですが、とても親近感を持つ事ができ、空間全体を楽しむことができました。
4月29日(金)にはANEWAL Gallery、 BAZAAR(バザール) CAFÉが堀川団地や地域の方と協力し、ギャラリーツアー・アーティストトークが実施されました。こういったアートフェスティバルでアーティスト、キュレーター、スペース以外の方がプレーヤーになる企画の可能性を⾒る事ができた意義のあるものとなりました。
次に、京町家を改装した be 京都で開催されているのは二つの作品展。
2階は楠本涼さん。
徳島県出身、京都在住の写真家。樹齢数百年を経た古樹の表面をユニークな展示方法で表現されました。和室に寝転んで樹齢 200 年以上の樹木に囲まれる空間づくりは築 200 年以上歴史がある京町家ギャラリーbe京都ならでは。自然と向き合ってきた日本⼈の精神性を、今また⾒直していきたいとの言葉が印象的でした。
1階ではアメリカ⼈のロバート・ファウザーさんの展示です。
韓国ソウル近郊キョナムドン地域の「再開発」。
この展示はファウザーさんが2年かけて韓国のGyomun-dongの古民家地区一帯が壊され新しいタワーマンションが建設されていく町の様子を撮りためたものです。消えていく古い町並みや風景がどこか京都を思わせます。私は、4 月 24 日(日)にファウザーさん主催のギャラリートーク&西陣まち歩きツアーに参加させていただきました。
―――――― なぜこの写真を撮られたのですか?
私は、ソウル大学で働いていたとき近くの古民家に興味を持ち撮影を始めました。
―――――― KG+に参加した理由は?
自分の写真がどのような評価を受け、京都に展示することができるか試したかったからです。運よく選出されました(笑)
―――――― 開催場所をbe京都にした理由は?
「町家」というところと「立地」ですね。特に「立地」は入り組んだ路地の中で、ギャラリーを探しながら町並みを⾒てほしいという思いから be京都にしました。
その後、西陣の町を参加者とファウザーさんのお話を聞きながら回りました。
まちづくりの視点から韓国と日本を比較することは大変興味深いものとなりました。 中でも印象的であったものは「お地蔵さん」です。西陣界隈を歩いていると至る所にお地蔵さんがありました。 ファウザーさんはそれを日本ならではのもので「美しい」と言いました。何十年もそこにあるのにそれを住民が受け入れともに住んでいる光景は日本的であるそうです。 新旧様々なものが存在する西陣はとても情緒的で素晴らしいと感じました。
強いコンセプトを持つ写真芸術作品が、まちと建物に⾒事に融合した KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭サテライトイベント KG+。 会場内には次回参加希望者も多く来場されており、今後の動きに期待が高まります。
会場
虎屋 京都ギャラリー 京都市上京区一条通烏丸西入ル広橋殿町 400(虎屋菓寮 京都一条店 横)
作品展名
フランス国立ギメ東洋美術館・明治写真コレクション茶のある暮らし
会期
2016 年 4 月 23 日(土)~5 月 22 日(日) [終了]
詳細
http://www.kyotographie.jp/portfolio/guimet-collections-tea
会場
BAZAAR CAFÉ (京都市上京区岡松町 258)
作品展名
水渡 嘉昭 写真展“Aires=風”
会期
2016 年 4 月 28 日(木)-5 月 21 日(土) [終了] 営業日:木・金・土曜日
https://www.facebook.com/kyotobazaarcafe/
過去のカミングレポート記事
http://kamigyo.sakura.ne.jp/tokushu/spot/post-75.html
会場
ANEWAL Galley (京都市上京区実相院町 156)
作品展名
水渡 嘉昭 写真展“Aires=風”
会期
2016 年 4 月 22 日(金)-5 月 4 日(水)11:00-19:00 [終了] 休廊:4 月 25 日(月)
HP
http://gallery.anewal.net/index.html
https://www.facebook.com/anewalgallery/
会場
Art Gallery&Rental Space be 京都(京都市上京区新町通上立売上る安楽小路町 429-1)
作品展名
1階 ロバート・ファウザー「橋南洞メモリーズ」
2階 楠本涼「貌-bow-」
会期
2016 年 4 月 23 日(土)~28 日(木)10 時~18 時 [終了]
HP
後藤巧
立命館大学4年生
趣味は写真。京都国際写真展、KG+に非常に興味があり、アーティストと近い存在になれることが嬉しくてレポートさせていただきました。 「写真」という同じジャンルでありながら、どれひとつ同じ物はなく、テーマ性、空間の演出、すべてが刺激的でした。 上京区には「撮っておき上京フォトコンテスト」が開催されるように、魅力的な写真の撮影スポットもたくさんあります。 「写真」という切り口でまたレポートしたいと思います。