平成29年5月31日、上京区総合庁舎4階会議室にて、上京えんじぇる“ぎゅうっと”ひろば 第19回ドリームチルドレン~上京わんぱくひろば~が開催されました。今回は、上京区内に住んでいる1歳半未満の第一子とお父さんお母さんが対象で、28組の親子が参加されました。
今回で19回目となる「ドリームチルドレン」は年1回催されていて、上京区内の3児童館と鶴山保育所、上京区社会福祉協議会(区社協)により運営されています。もともと上京区内の上京・西陣・室町児童館だけで始まったイベントだったのですが、そこに区社協と学区の民生児童委員が加わって上京区全体に広まり、閉校した小学校(元聚楽小学校)で開催されていました。そして、上京区総合庁舎の新装を機に、こちらで行われるようになったということです。
また、今回のこの取組では、はぐくみネットワーク実行委員会(※)が、毎年区内の児童館でほっこりニコニコトーキングとして実施していたものを、今回のメインイベントとして開催しました。ドリームチルドレンへの参画は初めてとのことです。はぐくみネットワークメンバーさんと子ども専門の民生委員である主任児童委員さんの協力により行われました。
※ はぐくみネットワーク実行委員会は、子どもを地域の宝として大切に育むために、子どもに関係する機関が連携して、様々な取組を行っています。
さぁ、アンパンマンの「サンサン体操」でドリームチルドレンの始まりです!
まず、お母さんたちには、お家の近くにある児童館をご紹介。必要な情報をしっかりと伝えておられますね!
そしていよいよ、本日のメイン「ほっこりニコニコトーキング」が始まります!
それまでは子どもたちを遊ばせる場としてだけのイベントであったのが、「お母さんたちの悩みを打ち明け合う場を作ってもよいのではないか」というイベントメンバーの意見から生まれた試みだそうです。そのため、今回は対象年齢を絞り、大きい子と一緒だとなかなか遊べない年代である一歳半までの第一子を持つお母さんに来てもらうことにしました。住んでいる学区によりお母さんたちを6グループに分け、そこにはぐくみネットワークのスタッフさんと主任児童委員さんが入られます。
はぐぐみネットワーク実行委員会の小野佳代子さんがここで、お母さんたちに「3つのお約束」を伝えます。
①ひとりひとりが主役です。誰か一人だけが話し続けて、少しも話せない人のないようにしましょう。
②お互いの意見を尊重します。他の人を非難したりすることのないように。ためになる、楽しい時間を過ごしてもらいます。
③「ここだけの話」にします。個人情報も含まれるお話なので、他所ではお話されないでください。
帰るときに「来てよかったなぁ」と思えるような、そんな気配りです。
「ほっこりニコニコトーキング」は「サイコロトーク」で進行されます。 話し合うテーマが書かれた大きなサイコロを転がし、止まったところの話題でお母さんたちが話をします。
テーマは6つ。
1. ご近所おすすめスポット
2. うちの子のお気に入り
3. こんな時どうしてますか
4. 名前の由来
5. うちの子ここがかわいいんです
6. 時間があったら◯◯したい
ここで小野さんが5番のテーマについて、お母さんたちにアドバイス。
「ここでは、普段なかなかできない自分のお子さんの自慢を思いっきりしてください!」
自分の子どもの自慢って、なかなかできない。でも本当はみんな自分の子どもが一番だと思っているのです。これは、そんな気持ちを解き放てる時間を持たせてあげたい、と思う先輩ママからのプレゼントだったようですね。
6番の「◯◯したい」は、実際にはそんな時間は取れないかもしれないけれど、そうやってお母さん同士、話をすることでストレス解消してもらおう、というのがねらいです。
室町児童館の松本館長はニコニコトーキングの目的を3点挙げられています。
「1つ目は、地元の民生委員さんと顔つなぎをしてもらうこと。悩み事を相談できる人を作れます。2つ目は学区別に集まることで、ご近所のママと仲良くなってもらうこと。3つ目は、児童館に来てもらえるようにすること。ここでは仲良くなるところまではいかなかったお母さんも、児童館では話ができるママ友を得られます。そのためにも児童館の情報をここで得て帰ってほしいですね。」
各テーマではお母さん同士のお話が盛り上がっていました!
1回目のトークは「名前の由来」について。外国人のお母さんが子どもの名付けを晴明神社にお願いされたと聞いて、みなさん「へぇ~!」「古風~!」と意外そうでした。
2回目は、「ご近所おすすめスポット」。長く住んでいるお母さんや主任児童委員さんのおすすめを熱心に聞いておられました。
そして最後は小野さんの提案で、「こんな時、どうしてますか?」のテーマでトークです。みなさんの「あるある」は、やっぱり「夜泣き」。どのお母さんも悩んでおられるテーマなので、お母さん同士のお話もより詳しく悩み事をお話されています。
あるお母さんは「この子はお昼に寝てしまって、夜寝ないんですよ。」という悩みごと。お母さんの横で遊ぶ赤ちゃんを、主任児童委員さんが「それなのによく来てくれたね~!」と抱きあげると、お母さんの表情が一気に明るくなりました。赤ちゃんの悩み事の多くは、すぐには解決しないもの。でも、悩みをみんなで共有していくと、「案外どうにでもなるわ」っていう考え方にたどり着けるのかもしれません。
チャレンジ体験でやってきた上京中学校の3人の生徒さんたちも、お母さんに混じって、赤ちゃんの元気さにビックリしながらも、慣れない手つきであやしています。中学生は将来親となる自分たちを、お母さん方は自分たちの子どもたちが中学生になったときの姿を想像しながら、楽しく意見を交わしていました。
お母さんたちの感想をいくつか…
「九州から京都に来ましたが、近くにママ友がおらず困っていました。ここは自分の子どもと同じくらいの年の子どもが来ているので、お話に共感するところが多かったです。」
「近所の児童館で見かけたお母さんと話ができました。児童館ではあまり交流できなかったけど、これからはそちらでも仲良くできそうです。」
「ここで友達はできなかったけど、児童館で見かけたお母さんもいたようなので、ここの場が友達になる一つのきっかけになるような気がしました。」
大体は「来て良かった」という感想だったのですが、中にはこのような意見の方もおられました。
「東京から来てまだ間もないので、友達がいません。私自身が話が苦手なので、輪の中に入るのが難しかったです。」
「子どもが遊べると思ってやってきたけれど、親が話をするだけだったので残念でした。」
松本館長もこの点には頭を悩まされているのですが、このように答えてくださいました。
「今までは『子どもの遊び場の提供』だけだったのを、『親の交流の場』を作ってみよう、ということになり、前回からリニューアルしました。まだまだ試行段階というところですが、一回ずつ様子を見ながら、お母さんたちに役立てるようなイベントにしていきたいです。」
上京中学校の生徒さんはどんな感想を持ったでしょうか。
「私は末っ子なので、赤ちゃんをあやしたことがなく、泣かれそうになって難しかったです。お母さんの苦労がわかりました。」
「小さい頃の自分を思い出しました。帰ったらお母さんと話をしてみたいです。」
少子化が進み、近所に同じような悩みを持つ人がいないというお母さんが増えています。特に京都市は出生率が低く、その中でもさらに上京区は低くなっています。そういった現状の中でこのような試みは、一人で悩むお母さんにとってはきっと大きな救いとなるでしょう。ママ友を探せる場所、そしてママの先輩と話ができる場所として、ずっと続いてほしいと思った今日のイベントでした。
鳴橋 明美(なるはしあけみ)
上京区西陣に生まれ育ってウン十年、現在も上京区で主人と一緒に京組紐を生業としています。また、「京都桐壷庵」では、組紐体験やお抹茶体験をしています。
「カミング」の取材コーディネーターをしながら、今宮神社御旅所で「能舞台フェスタ in 今宮御旅所」というイベントを開催しています。また、「京都上京KOTO-継(ことつぐ)の会」を立ち上げ、京都上京の文化継承のお手伝い活動をしています。
上京は奥深い!まだまだ掘り尽くせない文化資源にこれからも出会って行きたいです。