2019年11月1日(金)~12月8日(日)にかけて、まるごと美術館が開催されました。
まるごと美術館は寺社仏閣の特別拝観とアート作品や伝統工芸作品の展示、ライトアップを組み合わせたイベントです。
今回は会場の数が大幅に増え、本法寺、報恩寺、妙蓮寺、妙顕寺、妙覚寺、本満寺、水火天満宮、泉妙院、現代美術製作所、be京都の10会場で行われました。
パンフレットでは会場周辺の喫茶店やご飯屋さんなども紹介されています。
ここからは、菅さんに「まるごと美術館」の概要と、今後の展開についてさらに詳しく尋ねてみました。
目標としていた1万人のラインを超えられたので、とりあえずほっとしています。お客さんが来るかどうか、内心プレッシャーもあったので。
お客さんが増えた要因の一つとして、会場が増えたので行きたいところを選べるようになったことがあると思います。
こんなに地域に人を呼べたことは奇跡に近い。今はお茶関係、業者以外誰もおらず、閑散としています。特別拝観後に気に入ってくれる人もいて、特別拝観以外のベース人数も増えてきています。
大前提として年齢層などでは絞っておらず、お寺を知らない人。さらに絞るとしたら、次世代がお寺を支えていくので40代以下の若者ですね。御朱印以外でお寺に行く人は最近少ないですよね。
ゆっくりしたい人が来るのが西陣やその周辺だと思っているので、本来の目的とは違うのでツアーはほぼ組みませんでした。ツアー会社や企業とコラボすれば確かに人は来るけど、それでは意味がない。地域の店などを回遊してもらって意味がある。消費者を増やさなくてはいけないと思っています。
町の回遊イベントとしての満足度は半々でした。今後はルートを決めて、旗・看板をわかりやすくしていくべきですね。
それから、近所の店にちらしを持った人が入っていたので、もっと近隣の店のリサーチをすべきだった。まるごと美術館のちらしを持っていくと5%オフになるとか、コーヒーサービスとか、加盟店を増やして共通チケットを作るとか、店との連携ができるとなおよいと思っています。
あって当たり前の、恒例行事のようなものにしたい。クリスマス、お正月のようにまるごと美術館の季節が来る。今年は関わってみようかな、今年は無理だけど来年は関わってみたい、と思ってもらえるようにしていきたいです。住民を巻き込んでいくことも目標です。みんなで作っていきたいと思っています
以前はボランティアがいなかったので一人で受付に入っていました。HPもなかった。
今回は御朱印とお守りのことはお寺にやってもらって、受付はボランティアに入ってもらっています。去年関わったのは15人くらいだけど、今年は300人くらいの人が関わっています。
人と人との縁がなくなってきている現代ですが、まるごと美術館という枠を作ると話しができるようになります。会場が増やして、来場者、運営、ボランティアなどいろいろな人が関われる状況をつくりたいです。
宗派を超えた連携は今までなく、地域でこんなに協力することはなかったので大きな一歩だと考えています。
次は20会場で、と言っていましたが、会場をこれ以上増やしても来場者数は変わらないのでは、と今回やってみてわかりました。同じ寺か違う寺かはわからないけれど、会場数はそのままでいきます。会場数が同じだとボランティアの数も限定できるし安定した運営ができます。
それよりもエリアを分ける必要がある。各エリアに会場を3,4つ作り、展覧会以外の魅力を発信していきたい。来る理由を総合的な部分にする。来て何をするのかを増やす。どこに行って何を見て何を食べて何をするのかを考える。例えば体験型、ここにしかないおいしい店など。浅く広くから狭く深くに切り替えていきたいです。
菅さんのお話を聞いて、ただ人を呼び込もうというのではなく、地域の人同士の関わりという部分からも地域活性化を目指しているのだとわかりました。
今回私も運営・ボランティアとして関わらせてもらいましたが、一緒に入ったボランティアの方、来場者の方などたくさんの人と交流の機会があり、とても楽しく、また勉強になりました。
地元に愛着を持っている住民の方々がもっと参加してくれたら、と思います。
今年の春の「まるごと美術館」は残念ながら新型コロナウイルス感染防止のためやむなく期間を切り上げられました。これから上京区の経済復活は大変な道のりになるかもしれないですが、菅さんはきっと地域のために必死で動いてくださるに違いない。そんなふうに思わせる人柄を持っておられました。次回以降も地域の経済回復のために奮闘していただきたいです。
桑山晴香 京都府立大学福祉社会学部3回生。
編集後記:
昨年の開催時菅さんは取材でこのように話されましたが、新型コロナウイルス感染拡大に際し、いろいろと心境の変化があったようです。このたびの取材は当時の思いとして残し、また次のまるごと美術館開催の折には新たなる思いを取材できればと考えています。