2020年、新型コロナウィルスの流行が世界中に広がり、これまで出来たこと楽しめたことがこれまでの方法ではできない日々が続きました。ふれあいネットカミングでは、都ライトを何度か取材し記事にしてきましたが、この状況下で都ライトがどのように実施されたのか、そもそも実施できたのか、大学生たち自身が苦しい生活を送る中どのように進めたのか等についてお聞きしました。
16年目となる今年は、コロナウィルスの影響で町家のライトアップイベントは実施できませんでしたが、お家で楽しめる企画を用意しました。具体的には京町家を360°カメラで撮影する「360°カメラで作品鑑賞@京町家」、自宅で工作を行う「自宅で簡単!工作体験」、自分の好きな西陣の写真を撮り皆に見てもらう「写真de都ライト」を実施しました。例年とは異なることを行ったことで、それまで関われなかった人たちにも都ライトの活動に参加していただくことが出来ました。(実行委員S)
例年行っている人が集まるライトアップイベントを行うことが厳しくなり、今年の活動方針を考えることが一番大変でした。私は昨年からこの団体で活動していますが、毎年当たり前のように行っているライトアップイベントができなくなり、今年の都ライトはどのように活動していくことが良いのか考える日々が続きました。都ライトの醍醐味であるライトアップができないのであれば、活動は中止したほうが良いのではないかと思うこともありました。実行委員で今年の活動について議論を進めていく中で、毎年ライトアップを行なっているが、それは都ライトの「目的」ではなく「手段」であり、都ライトが本来目指している「目的」が何かに気づきました。それは町家保全、地域活性化です。一言に町家保全や地域活性化とっても、私たちのような学生で簡単に変えられるようなものでもないし、過去ライトアップを行ったことで、「町家が〇〇件守れた」というような実績があるわけではありません。しかし、今まで15年間都ライトを続けてきた中で、学生の活動範囲内ですが、地域住民の方に普段何気なく暮らしている町家や地域の魅力や、少しでも多くの人に「西陣」という地域のことを知ってもらう、そのような場を提供できていたのではないかと感じています。今年はライトアップという形では行えませんが、例年のように地域と学生がつながり、町家や地域の魅力を広げる活動を行いたいと考え、今年のイベントや企画を考えました。(実行委員M)
この企画は私たちが作った照明キットを購入していただき、自宅でライトアップ気分を味わっていただくというものです。この企画で大変だったことは参加者を募ることでした。そのため、児童館や施設などの団体に対して協力を募り、都ライトエリア以外の方にも参加できるようHPに作り方等を載せて楽しんでもらう工夫をしました。 (実行委員F)
http://miyako-light.anewal.net/miyakolight17/stayhome/kousaku/
この企画は京町家の中に作成していただいた作品を展示し360°カメラで撮影するというものです。この企画や運営での苦労した点は、メンバーと直接会えないために撮影の構成やタイムスケジュールを詰めていく際、話したこと、考えていることを直接共有できず、調整が難しかったことです。今後もこのような状況が続いていくと思うので、この点については早急に対処を考えないといけないなと思っています。撮影当日は、360°カメラを扱うことも初めてでしたので、話し合って決めていた構成の通りに、実際に時間内に撮影できるかとても不安でした。しかし、何とか撮影が終了しYouTubeに公開できたので非常に安堵しました。(実行委員H)
http://miyako-light.anewal.net/miyakolight17/stayhome/kousaku-3/
写真を見ること、撮影すること、みんなに見せ合うことで、改めて地域の魅力を味わい、新たに地域の魅力を発見してもらいたい、そのような思いでこの企画を考えました。子供から大人まで気軽にご参加いただけるように、写真コンテストではなく、写真をたくさん集めて最終的に「都ライトアルバム」を作成する企画を考えました。例年とは異なる新たな企画であったので、参加者を募ることがとても大変でした。そのために私は、地域のお店に宣伝活動を行い、インターネットを通じたイベント広報に力を入れました。(実行委員 M)
http://miyako-light.anewal.net/bwg_gallery/2020/
新型コロナの影響で、11月まで実行委員同士ですら直接会うことが出来ませんでした。そのため、何気ない会話もなく、心のつながりを持つことが難しかったです。工夫として、Zoomミーティング後にたわいのない話をするようにしました。しかし、今年度から入ったメンバーは仲を深めることが難しく、新メンバーのミーティング参加率の低下や都ライトをやめたいという声も聞こえるようになりました。対面で会うようになって初めて学校生活やバイトのことを話すことができ、困ったことがあれば他の実行委員に相談しやすい環境になったと思います。(実行委員S)
町家のライトアップを心待ちにしている意見もあったため、コロナが収まればまたライトアップイベントを復活させたいと考えています。また、今年は都ライトエリアに訪れなくても参加できる企画を実現できたので、今年のような直接訪問できない方々向けの併設イベントを行いたいです。(実行委員 F)
2020年の苦労は、都ライトが活動する地域外の人も巻き込む可能性を生みだしました。一方で、恒例となったライトアップがないことに寂しさを感じる地元の方たちの存在もあります。実行委員会同士のコミュニケーションの取り方についても再確認されました。これらの経験を踏まえて、16年間継続する学生団体の事業が、今後どのように次の世代へ継承していくのか非常に楽しみです。
着物でもっと楽しむ都ライト(2019)
https://www.kamigyo.net/public_html/event_report/report/20190409/
みんなで『都ライト』を見に行こう!(2016)
http://kamigyo.sakura.ne.jp/tokushu/event-report/new-11.html
地域と学生たち:都ライト実行委員会 ~町家を照らして地域とともに文化を伝える~(2016)
http://kamigyo.sakura.ne.jp/tokushu/hohmonki/new-6.html
都ライト実行委員会
都ライト実行委員会は、京都市内を中心とした大学の有志学生で組織されています。本年度、「都ライト’20」の実行委員会には同志社女子大学、京都府立大学、京都工芸繊維大学などから約7名が集まりました。活動の拠点は、京都市上京区にある町家ギャラリー「ANEWAL Gallery(アニュアルギャラリー)」です。都ライトでは毎年、実行委員会として私たちと共に活動する仲間を新たに募り、春から活動を開始しています。