こんにちは。私たちは、同志社大学政策学部小谷ゼミです。ゼミでは、環境問題やまちづくりについて学んでおり、現在「循環型社会の構築を礎としたエコで繋がるまちづくり」事業を企画し、運営しています。今回は、この事業の一環として取り組んでいるオレンジガーデニングプロジェクトについて紹介します。
みなさんはオレンジガーデニングプロジェクトをご存じでしょうか。これは、「認知症になっても暮らしやすいまちをみんなで作っていこう!」という思いを共有しながら、9月のアルツハイマー月間に、認知症のシンボルカラーであるオレンジの花を咲かせるプロジェクトです。
小谷ゼミでは代々、3年次生を中心に上京区のまちづくりに関わる研究と実践に取組んできました。私たちの代では、ゴミ問題や緑化活動などのエコ活動を通じて多世代交流を進めており、今回、このプロジェクトの目的に共感し,ゼミとして参加することに決めました。
私たちのまちづくり事業の柱は二つあります。
一つ目は、まちの緑化をすすめるための、プランター花壇設置活動です。
花を植えるだけでなく、土づくりから始めます。花壇に使うたい肥は、上京区内のカフェや喫茶店から回収したコーヒーかすなどを主原料としています。コーヒーかすなどの生ゴミは水分が多くて燃えにくく、その処分は環境に大きな負担となっているため、自家製たい肥として使い、生ゴミを無駄なく再利用することで、地域内での資源循環を生み出し、またゴミ問題の啓発に努めています。
二つ目は、子供たちの環境意識を育み、地域に愛着を持ってもらおうと、月に1回、室町児童館新町分室で環境学習教室を催しています。
オレンジガーデニングプロジェクトに取り組むにあたり、これら二つの柱からなるエコ活動をさらに発展させ、活動を通じて繋がってきた、カフェや喫茶店の方、大学生、小川特別養護老人ホームの方々、そして子どもたちとの地域の環を、地域内の高齢者の方々へと広げる機会にしたいと計画を立てました。
まず、8月、環境学習教室では、子どもたちと認知症やゴミ問題について一緒に学び、マリーゴールドの花を植えました。子どもたちには、オレンジが認知症啓発活動のシンボルカラーであることを紹介し、オレンジ色の花を植える意味を知ってもらいました。認知症のおばあちゃんが主人公の絵本を事前に読み聞かせをすることで、認知症に対して具体的なイメージを持ちやすくなるよう工夫しました。子どもたちは、真剣な眼差しで話に聞き入っていました。
花壇づくりに加えて、子ども達には高齢者の方々に向けたメッセージカードの記入をお手伝いしてもらいました。「これからもずっとずっとげんきでいてね。」「たいせつにしてくれてありがとう。」など子ども達から、地域のおじいちゃんおばあちゃんに向けたかわいらしく温かいメッセージを書いてもらいました。このメッセージは写真のようにアレンジし、プランター花壇とともに、小川特別養護老人ホームへ届け、施設内で飾っていただいています。
9月には、敬老の日に合わせて子ども達と一緒にお手紙とあづま袋という簡単に作れるエコバックを用意し、一部ですが、各小学校区域の高齢者の方々にプレゼントしました。子ども達の優しい気持ちが詰まったお手紙に喜んでいただくだけではなく、あづま袋をマイバックとして持ち歩き、環境問題にも考えを巡らすきっかけになればとの思いをこの行事に込めました。
さらに、9月27日から30日まで、上京区役所1階の東側ロビーでアルツハイマー月間展示をゼミで担当しました。オレンジガーデニングプロジェクトや認知症に関するパネル展示とプランター花壇を置きました。また、「認知症になっても暮らしやすいまちを作ろう」というオレンジガーデニングプロジェクトの趣旨を踏まえ、メッセージボードを用意し、区民の方からまちに対する思いを伝え合う場を作りました。「上京区の好きなところは」「将来どんな街になってほしいですか」「上京区にあったらいいものは」という質問について、「人の温かさ」という上京区の良さや「多世代交流が盛んなまち」「多様性に富む心豊かなまち」などのまちに期待するメッセージが寄せられました。
これからもさまざまなエコ活動を通じて、多世代が繋がる機会を創出したいと考えています。まちづくり事業を通して、環境問題解決の一助となるだけではなく、その先にあるより良いまちづくりに貢献するために、日々邁進していきます。
三田暁(写真右)同志社大学政策学部小谷ゼミ
今回、このプロジェクトに取り組む中で、コロナ禍で希薄化してしまったのではないかと心配されていた地域内の繋がりの温かさを改めて感じることができました。私たち大学生が、子ども達と高齢者の方々との結び目となる役割を担えたことは、大変嬉しく、誇りに思います。