私たち、同志社大学政策学部1回生は、2022年12月6日、上京区の相談支援事業所しぽふぁーれにて、「At-Kyoto」主催のベビー&キッズ用品交換会に参加しました。
交換会には、朝10時過ぎからたくさんの親子が訪れ、使わなくなった子どもの衣服はもちろん、ベビーカーやおもちゃの交換もされていて、賑わいを見せていました。
ベビー&キッズ用品交換会とは、家庭で使われなくなった子どもの衣服や育児用品の交換を通じて、モノだけでなく、親同士の新しい出会いが生まれる場所をつくる会のことです。参加されているお母さんたちは、自由に会話を楽しみながら、子育ての情報を共有していました。また、武田さんや、この活動に賛同している近所の方々などが積極的に声をかけ、みんなが溶け込みやすい環境となっていました。
しぽふぁーれでの交換会をお手伝いしました。
晴れている日は屋内だけでなく、屋外にも季節にあった服が並びます。
私たちの取材では、まず、武田さんにこの活動を始めたきっかけを伺いました。もともと、ダウン症の子どもとその親御さんをサポートする活動を続けてきたことから、妊産婦さんや、子どもを育てるお母さんたちと関わりを深め、「必要な時に必要なサポートができる体制を築いていきたい」という思いを強く持っておられた武田さんは、2019年12月に地域の主任児童委員に就任されました。
しかし、コロナ禍により、お母さんたちに出会う機会がなくなってしまったため、仲間と話合いを重ね、以前別の場所で行ったことがある交換会を地域でやってみることにしました。
「コロナの影響により、従来あった子育て支援の場が閉ざされ、ママ達は行き場を失いました。また、初めての出産後、孤立の子育てが当たり前となっているママ達もいます。このような状況であるからこそ、みんなが少しでも気兼ねなく訪れ、顔を合わせられる場を新たにつくろうと思ったんです」と、当時を振り返って武田さんは語ります。
新しく場をつくることは、簡単な事ではありません。紆余曲折、いろいろな事がありましたが、地域の民生委員さんや有志の皆さんのあたたかな協力のもと、現在のしぽふぁーれでの交換会があります。しぽふぁーれのスタッフの方々には、交換会の立ち上げから現在に至るまで励ましやアドバイスをいただいているそうです。さらに、今年度は、北野商店街の小児用補装具専門ゆめ工房さんの力を借りて週に2回交換会を開きました。このように、多くの方々に支えられながら活動できていることについて、武田さんは深く感謝されていました。
武田さんは、この交換会の特徴を「個人と個人の信頼関係が結ばれる場所」であると語ります。本来、たくさんの人と関わることは、自分の目が行き届きにくくなってしまいがちですが、対面で声をかけたりしながら、人と人が個別に関わることができるのが交換会の特徴です。武田さんは、「もう一度来たい!」「今まで言えないことも話せた」と言われるような場所を目指されています。その言葉どおり、交換会では、武田さんと熱心に話す顔なじみのリピーターの方もたくさんいらっしゃいました。
また、初めて来た人には、この交換会について説明し、フラットに話される様子が見受けられました。日程が合わないなど、何らかの事情で来られない人には、なんと、武田さん自らお相手の家まで訪問し、衣服を引き取りに行ったり、交換をしたりするそうです。このような手厚いサービスがあれば、お母さんたちも助かりますね!!
コロナウイルスによるパンデミックが収束した際には、「一人ひとりのお母さんたちと話せる機会を広げ、さらに関係性を深めたい」と武田さんは語ります。コロナウイルスの蔓延により、行動に制限がかかってしまい、親同士の交流ができずに子育てに対する悩みを抱え込んでいる人がたくさんいる中で、今自分たちにできることを推し進めていきたいとのことです。「親の虐待などがメディア等で多く報じられる中、子育ての理想と現実、その中に湧き上がる複雑な感情や葛藤をどう受けとめてよいのか、戸惑うママ達の苦しさや痛みを共有し、少しでも軽くできたら」と願う武田さん。「話せてほっとした」「今日1日何とか頑張れそう」などの声が聞けると安心するとのことです。交換会という場は、悩めるお母さんたちをたくさん救っているのですね。
最後に、武田さんに活動を通してお伝えしたいことを伺いました。「この交換会という場所は、モノとモノが人と人をつなげてくれる場所です。誰もが同じ立場なので遠慮は必要ありません。どんどん活用してください。このような活動が、上京区だけでなく、他の場所でも広がると嬉しい」とおっしゃっていました。これからも、この活動を通して、たくさんのお母さんたちに元気と笑顔を与えていってほしいと思います!
ゆめ工房での交換会
この看板を見かけたら、ぜひ立ち寄ってみてください。
ベビー&キッズ用品交換会
ホームページhttps://atkyoto.crayonsite.net/
LINE公式アカウントhttps://lin.ee/qPKRabG
海老原拓人 下地泰世 十倉萌寧 神吉美怜
同志社大学政策学部1回生
武田さんのこの活動に対する熱い思いに、取材している私たちも胸が熱くなりました。また、武田さんがとても気さくな方で、武田さんになら悩みを相談しやすそうだなと感じました。交換会では、持ち寄るものがなくても参加OK!たくさん服やおもちゃが並んでいるので、ほしいものが見つかります!公式ラインやインスタグラム、ホームページには交換会の情報が発信されています。要チェックです!!最後に、お忙しい中、今回の取材を引き受けて下さった武田さん、本当にありがとうございました。