チャレンジ！木工体験第一弾「削ってチャレンジ！〜木のボール作り＆木の遊び〜」

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東、北、西の三方を山に囲まれる京都では、森林が市内面積の3/4を占めています。
森林は、様々な生き物のすみかであり、水を浄化し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収するなど、地球環境のバランスを保つのに大切な働きをしています。
私たちの暮らしを見渡しても、寺社仏閣や伝統工芸品、お茶などの和文化に木材は欠かせませんし、木造建築や木製家具、和紙、楽器、薪や炭など木を原料としているものがたくさんあります。
一方で、近年、手入れのされない山が増えて森林が荒れ、林業の担い手が減り、鹿や猪が増え、自然災害によって木が倒れたり、土砂崩れが起きたりと、人と森の関係が希薄になってしまったことで起こる問題も見られるようになりました。
大きく成長した古い木を切って使って、新しい木を植えて育てるという、50年から100年にわたる森の循環サイクルがあることで、豊かな森が維持されます。過剰な伐採もいけませんが、木を切らずに放っておくことも、生態系のバランスを崩してしまうのです。

今回、「木工体験を通じて、森林の循環サイクルを感じられる機会になれば」と、上京区役所では、小学生を対象にした「削ってチャレンジ！〜木のボール作り＆木の遊び〜」を7月9日（土）に堀川商店街内で開催し、11時から16時まで、1時間ごとに入れ替わり立ち替わり50名の子どもと保護者が参加しました。

木工体験のワークショップを進めるのは「西陣　路地まち工作室KRAFTERIA」のスタッフ5名のみなさん。
「一言で木と言っても、色々な種類がありますよ」と、スギはまっすぐ育つので家を建てる時によく使われ、ヒノキは油分があるため水に強くて腐りにくいなど木の特徴を伝えると、子どもたちはスギとヒノキの木材を手に取って、それぞれの色や木目、香りを確かめました。

ワークショップでは、子どもたちは四角いスギの木材をやすりで削ってボールを作りました。スタッフが「角ばった木材の、とんがっているところを無くしていきましょう」と伝えながら、やすりの使い方を説明しました。今回使ったやすりには、触るとザラザラしていて、たくさん削れるけれども力が必要な60番のやすり、力はあまり必要としないけれども、削る量は少なくなる80番のやすり、ツルツルしたボールに仕上げる120番と240番のやすりなど、場面に応じたやすりが用意されていました。

作業が始まると、子どもたちは削ることに夢中になっていきました。
四角い木材を丸くする。ただそれだけのことですが「ずっと削って、手が疲れる」「丸にするのに削っても、削っても終わらない」と言いながらも、子どもたちは手を止めず、丸くなるようにひたすら削ります。
スタッフは、一人ひとりの様子を見ながら「やすりの目に挟まった木くずを落とすと削りやすくなるよ」「ここを削ると丸くなるよ」と声をかけて、ボール作りをサポートしていました。

30分ほどかけて、ようやくボールができました！
スタッフのお兄さんが、「途中で落ちたりしないかな。棒の端から端までボールが転がるかな」と傾斜のついた木の棒の上にボールを載せました。ボールがコロコロと転がる様子を見届けた子どもたちは、「僕も」「私も」と自分のボールを転がしました。ボールが途中で落ちたら削りに戻り、落ちずに最後まで転がったら歓声があがりました。

子どもたちは完成したボールを使って、木で作られたボウリングセットやパチンコ台などで、思い思いに遊びました。

保護者からは「子どもが楽しそうに木のボールを作っていた」「削る時の熱中具合がすごかった」「子どもが夢中で遊んで、どうやったら丸くなるか一生懸命考えていた」などの感想をいただきました。また、おもちゃや食器、ペン立てなどのものづくりや、大きな木製遊具で遊ぶイベント、五感を使ったイベントなど「今後も、木に触れる催しをして欲しい」というリクエストもいただきました。

参加した子どもたちに「普段どこで遊んでいますか」と尋ねると、「公園」や「鴨川」と返ってきました。子どもたちは、身近なところで自然に触れているようです。様々な動植物が生息する京都御苑や鴨川、堀川などがある自然に恵まれた上京区ですが、木のボールを作りながら、市内で育つ木々や森林に目を向けて、木材を使うことが豊かな森を育てることにつながっていると気づく時間になりました。