京都市の体育振興会は、市内全221(令和5年5月現在)の元学区を単位として組織されており、学区民体育祭や日々のサークル活動など、地域におけるスポーツ活動に取り組んでいます。
地域住民の健康増進、体力向上を図ることはもとより、明るい地域社会作りに大きく貢献する活動を展開してきました。通称「たいしん」と呼ばれています。
京都市体育振興会連合会及び室町体育振興会は今年創立70周年を迎えました。
10月には各学区などの体育振興会が主催となり「体育祭」が開催されます。
上京区の室町学区でも、「室町体育振興会創立70周年記念 室町区民体育祭2023年(主催 室町体育振興会 後援 室町自治連合会)」が開催されました。
室町体育振興会 真田 明会長に体育祭の歴史、課題や展望などを伺いました。
室町区民体育祭は室町学区にある町内対抗の体育祭で、日頃の運動不足の解消、家族、町内の親睦を深めることを目的に開催されます。種目も楽しく、スプーンリレーや、ザル引きリレー、シニア(60才以上)リレーに綱引きや球入れもあります。種目によっては予選と決勝があり、朝9時から午後4時頃まで熱戦が繰り広げられます。また、各レースの上位チームには賞品が渡され、優勝した町内には優勝旗が授与されます。
室町学区にある全71町内の中から、今年は17町内が参加。70年の歴史があります。(新型コロナウイルスの影響で2年お休みだったため2023年は第68回大会となります。)
第27回(昭和55年)のピーク時には44町内もの参加があったそうです。ですが、各町内の高齢化と小学生の数が減少したことを受け、10年ほど前からは辞退する町内も増え始めました。新型コロナウイルスの影響で2年間区民体育祭が中止されたことも影響を与えています。
また、出場は町内ごとの判断に委ねられますが、お世話役が大変なことも課題の一つです。
そこで、本部役員はブロック別に担当して年度初めに各町内へ参加依頼をするなどし、過去に参加した町内が復活参加できるよう、働き掛けも行っています。
さらに、できるだけ参加をしやすくするため、親子リレーは、親子(家族)リレーのほか、子ども・親・祖父母で競い合う三世代リレーなど、種目の工夫に加え、参加する町内が減少し始めた頃からは、町内会が参加を辞退していても、近隣町内の合同チームでの参加を提案する、個人参加を受け付けるなど、個人・家族での参加ができる仕組みも立ち上がっています。
このほか、あらかじめプログラムを配布するなどし、「住んでいる町内が参加を辞退していても出場できる」という周知をしてきました。大会規定にあるように、出場者は室町学区内在住者又は勤務している方に限られますが、実家があって区外に住んでいる家族を「ふるさと選手」として認めるなど、門戸が開かれたことによって、参加を希望する方も例年いるそうです。
10月8日(日)、室町区民体育祭2023年は曇り空の中、無事に開催されました。
朝から息の合った運営体制のもと実施され、室町小学校は大変にぎわっていました。
各町内の旗がゆれ、色とりどりのゼッケンが印象的です。
参加者に話を伺うと、「昔は本部席近くまで、もっとたくさんのテントが並んでいたよ。」「うちの町内は子どもが3人だけ、あとはおじいちゃんおばあちゃんばっかりやけど楽しいよ。」「町内が出ないからPTAチームででるよ。」などそれぞれのペースで楽しんでいました。
70周年記念種目として、男子400メートルリレー、女子400メートルリレーが行われました。
ちなみに60周年記念の際には、フルマラソンの42.195kmにちなんで、4.2kmを走るという対抗レースが開催され、烏丸通に架かる歩道橋を渡り、相国寺内を走り、烏丸中学校を通り、また相国寺を走り、また歩道橋を渡って室町小学校まで帰ってきた…という過酷で室町学区ならではのオリジナルコースが展開されたそうです。その時の優勝賞品はなんと自転車と和牛!こういったユニークな賞品も学区民体育祭ならではです。
綱引きの賞品は「お酢」というのも例年のお決まりだとか。
サランラップやごみ袋など日常生活に使えるものから、お菓子など様々な賞品が準備されています。
過去には近隣の公園に集合して、バトンの練習や球送りリレーの練習をする町内もあったそうですが、近年は減っています。
あいにく午後からは雨が降り出してしまいました。
ここは会長の名采配で、雨が降り出す少し前から予選をなくしてタイムで順位決定をしました。
表彰式を都度行う事で、時間を短縮し、また、実際雨が降り出したため、玉入れや時間がかかってしまう競技は省かれました。表彰式は発表のみに切り替え、賞状、賞品は撤収作業と同時に行うことになりました。おかげでアッという間に片付いたそうです。
「参加町内が減っていることは残念なことですが、開催を応援し、楽しんで参加してくれている方も多いと思います。一方で、各町内のお世話をする役員さんは大変だと思います。主催側としても負担がないような大会にしていきたいと考えています。
そのために、新しい仕組みとして、例えば「区民体育祭お手軽パック」のようなお弁当とテントを体育振興会で手配をして、町内は区民運動会に参加するだけといったサービスなどを検討しています。近隣で呼び掛け合い、ブロックごとに参加する仕組みを作っていくなど、まずは家族での参加を促して、地域の交流を増やしていきたいです。」
70周年の歩みの中で、歴代7代目の真田会長。
歴史がある中、新しい風を吹かそうとしています。
岡元麻有
学区民体育祭を通じて、町内の交流も深まります。時代の流れと共に、運営側も工夫を重ねておられることを知りました。足を運んでみて、皆さんとても楽しそうだったのが印象的でした。