上京区総合庁舎で開催された「京の五節句と年中行事」端午の節句展に合わせて、令和6年5月2日(木)に「菖蒲飾りを作ろう!」のワークショップが実施されました。
4階の大会議室にはお子様も含む19名の方が参加され、菖蒲飾り作りを楽しむ様子が見られました。
はじめに、講師のいけばな嵯峨御流 石川利佳甫教授から端午の節句や菖蒲についてのお話があり、一緒に制作を進めていきました。
古来、旧暦の五月は雨期のため、悪病がはやる時期でもあり、香りの高い菖蒲や蓬の香りで厄払いをしていました。江戸時代には、菖蒲が、尚武(=武道・武勇を重んじる)と同じ読みとなるため、武家の行事となったそうです。男の子の誕生と成長を祝い、家の繁栄を願う重要な行事として、今に伝わっています。
今回制作した菖蒲飾りは、菖蒲と蓬を束ね、奉書紙(ほうしょし)で包み、水引きで結ぶ、というものです。持ち帰ってご家庭でも吊るすことができるように仕上がりました。また、軒があるお家の方は、軒菖蒲として飾ってみるのも良いでしょう。
軒菖蒲とは、菖蒲飾りを軒に置いて、邪気を祓うというものです。
通常私たちがよく目にする美しい紫などの花が咲くのは、アヤメ科の花菖蒲です。菖蒲飾りに使うのは、真菖蒲(葉菖蒲)と言われるサトイモ科の植物です。
この時期にはお花屋さんで購入することもできるそうなので、花菖蒲と真菖蒲を間違えないようにお求めいただくと、来年はご家庭で菖蒲飾りを作って邪気を祓い、健やかに過ごせるかもしれません。
なお、使用した蓬や市販の蓬は長持ちするように薬品が使われていることが多いのでくれぐれも食用にしないように、という注意があり、お風呂に入れて菖蒲湯にする際も、かぶれないかもチェックの上入りましょう、とアドバイスがありました。
乾燥させて刻んで菖蒲枕や薬玉の中に入れると長く楽しめます、というお話もありました。
会場に響く、チョキチョキというはさみの音も心地よく、参加者の皆さんは熱心に制作しています。
小さな手で一生懸命紙を折る姿や、ご友人と一緒に参加され、協力しながら制作する姿が印象的でした。
いつの間にか開放的な大会議室も菖蒲と蓬の香りに包まれ、すっかり邪気祓いができた様子です。
いよいよ最後の仕上げです。丁寧に折った奉書紙に水引をかけて仕上げます。真菖蒲の向きを考え、濃い方が右にくるように結びます。
完成後、記念撮影をされている姿も多く見受けられました。
参加者の方にお話を聞くと、「もうすぐ男の子を出産予定なので、元気な子が生まれるように願って参加しました。」という方や、「以前、七夕の節句展で梶の葉笹飾りが楽しかったので今回も来ました。」「菖蒲湯は知っていたけど菖蒲飾りを作るのは初めてだったので興味があって来ました。植物に触れることができ楽しかったです。早速家に飾ります。」などというお声がありました。思い思いの端午の節句、菖蒲飾り作りを楽しんでおられ、よい時間となりました。
岡元麻有
節句や行事の意味を知り、実践することはとても有意義だと感じます。
私も町家に暮らしていますが、今年も軒菖蒲を行いました。心も体も浄化された気持ちになりました。昔はしてたよ、懐かしいね、という声もききましたので、節句ごとにそれぞれの節句を大切にする方が増えるといいな、と思います。