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京都御所・御苑の魅力を味わうガイドツアー

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2024年12月1日(日)、NPO法人京都観光文化を考える会・都草(以下、「都草」という。)と明日の京都文化遺産プラットフォームの主催による「京都御所・御苑歴史散策ガイドツアー10周年記念行事」として行われたガイドツアーに参加しました。当日は青空が広がり、日差しが差し込むと上着が要らないほど暖かく感じる、まさに散策日和でした。

閑院宮邸跡で受付を済ませると、下記の4つからコースを選べたので、BコースとDコースを巡りました。

A 京都御所歴史散策コース
B 宮家・公家コース
C 幕末コース
D 御苑東コース

都草では、8月を除く毎週日曜日の午前中に、京都御所と御苑を巡るガイドツアーを行っています。10年前に2コースから始められ、今では4コースに増えました。10周年記念行事として開かれた今回は、10時、10時20分、10時40分、11時、13時30分の5回に分けて、各回4コース用意するという拡大版で350名を超える参加があったそうです。 


▲紅葉を楽しみながら歩きました

▲資料を用いて分かりやすく歴史を伝えていただきました

ツアーの始めに、桓武天皇が平安京に遷都してから、明治時代に国民公園京都御苑として整備されるまでの変遷について「幕末には約200軒の宮家や公家が暮らす公家町ができました」「国民公園は、皇居外苑と新宿御苑、京都御苑の3つだけですよ」などと、1000年の歴史をぎゅっと凝縮したポイントを教えていただきました。

御苑内の見所を巡りながら、ガイドさんは、公家や宮家の家系図など資料やクイズを用意してお話されました。
例えば、「この木の名前はなんと読むでしょう?」と「無患子、黄櫨、多羅葉」と書かれた紙を示しました。

みなさんは、読めますか?
これらは「むくろじ、はぜ、たらよう」と読むそうです。
無患子の前でガイドさんから「子が患わない、無病息災という意味で縁起も良く、木の実にはサポニンが含まれるため、石鹸として使われていました。公家屋敷に植えられていたそうです。種は羽根つき遊びに使う羽根の黒い玉に使われているんですよ」と解説がありました。子どもの頃に遊んだ羽根つきを懐かしく思い出し、また、石鹸が作られるようになる前の当時の人々の生活を想像しました。
また、黄櫨を見ながら「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれる、即位の礼をはじめとする儀式で天皇陛下が着用される装束について聞き、多羅葉の葉は、葉の裏側に文字を書くとそのまま残ることから昔は文として使われ、「葉書」の語源となったことを知りました。


▲閑院宮邸跡そばにある無患子の前で

▲高倉橋そばに植えられた紅葉の美しい黄櫨

▲15cm程の長さで厚みのある多羅葉の葉

Bの宮家・公家コースでは、九条家の敷地内に建てられた厳島神社にある「唐破風鳥居」(からはふとりい)と呼ばれる珍しい形の鳥居を見ました。白雲神社は西園寺家の邸内社だったことや、梅園のある場所は、平安時代に「枇杷殿」(びわどの)と呼ばれた藤原家の邸宅があり、紫式部が枇杷殿で彰子に仕えていたことなどを聞き、タイムスリップしたような気分になりました。

Dの御苑東コースで巡った富小路広場は、明治時代に博覧会の会場となり、気球を揚げたこともあるそうです。気球に乗って眺める京都の街並みはどんな風景だったのだろう、と想像してみるとワクワクしました。ツアーでは、桜町や土御門第跡(つちみかどていあと)、染殿井(そめどのい)を巡り、紅葉の美しい景色も堪能しました。ガイドさんと歩くと、今まで見えていなかった見所に気づき、興味をそそられて、あっという間に時間が過ぎました。


▲西園寺邸跡

▲染殿井

ツアーには、京都はもちろん、滋賀や神奈川、熊本など遠方から参加している方々もいらっしゃいました。「楽しかったです」「平安時代が好きで参加しました」「今日で4コース全て巡りました」と感想を伺い、京都御苑の魅力を一緒に味わいました。

終了後、都草の理事長の小松香織(こまつかおり)さんにお話を伺いました。
今回の記念行事を終えた感想を尋ねると、「今年は夏が長かったこともあり、毎週日曜日に行っているツアーの参加者が、春と比べると少なくなっていました。たくさんの方に来ていただけるか不安だったので、多くの参加があり本当に嬉しいです。この機に私たちの団体や、日曜日の京都御所・御苑歴史ガイドツアーについて知っていただくこともできました」とおっしゃっていました。
京都御所・御苑歴史散策ガイドツアー10周年を記念して、11月24日(日)に講演会「京都御苑の魅力を、未来へつなぐ」を明日の京都文化遺産プラットフォームと共催し、冊子「京都御苑さんぽ」を発行するなどの事業を通じて、環境省、文化庁をはじめ、今までで最も多くの団体の協力を得ながら事業を実施したそうです。そのご縁に感謝し、「これからも信頼に足るよう努力を続け、京都御所・御苑の歴史文化への知識を深めて社会にその魅力を発信していきたいです」と抱負を語られました。

都草には、京都が好きで、歴史や文化を学ぶ人たちが集まっています。京都御所・御苑を案内されるガイドさんは、ガイドの基礎知識を踏まえたうえで、個々の切り口や角度の違いがあり、それがガイドさんの持ち味となってガイドツアーを魅力あるものにしています。コースも4つあり、ガイドさんも個性豊かとなれば、繰り返し訪れたくなること間違い無しです。みなさんも、都草のガイドさんと一緒に散策してみませんか。

京都御所・御苑歴史散策ガイドツアー
日時:毎週日曜日 午前9時50分集合(午前10時スタート)雨天決行
集合場所:閑院宮邸跡、門の前付近(京都御苑南西)
ガイド料:無料
予約:不要。但し、団体(10名以上)及び上記日時以外のご案内につきましては、2週間前までに都草事務所へご相談ください。

NPO法人 京都観光文化を考える会・都草
住所 〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入 京都府庁旧本館2階
電話/FAX 075-451-8146
ホームページ:https://www.miyakogusa.com
Email: info@miyakogusa.com

レポーター

亀村佳都
まちづくりアドバイザー
午前中のガイドさんが「何よりも歴史が好きで、「なぜだろう」という好奇心でどんどん知りたくなり、調べたり、都草の仲間と学んで話し、ガイドとして人に伝えるうちに知識が身体に染み込んでいくような気がします」と言われていたのが印象的でした。季節を変えて、全コース巡りたいです!

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