上京区には1200年の歴史に培われてきた文化と伝統が根付いています。
それを支えているのが、芸術を発表、交流、及び鑑賞する場の存在です。
中でも1988年10月8日に開館した京都府立府民ホール・ALTI“アルティ”は,舞台芸術のホールとして、クラシック音楽をはじめ様々なジャンルの舞台公演が開催されています。
また一般の方も発表会・練習などにも活用されています。
ALTI“アルティ”は、烏丸通に面しており、京都御所の西に位置します。「京都府公館」との併設施設です。
コロナ禍の今こそ新たな展開を図ろうとするべく、取組や想いを雨宮館長、総務・事業グループの森主事に伺いました。
一番最初に驚いたのは、ALTI“アルティ”のホールスペースの稼働率はなんと93%ということ!座席数400~600人規模のホール(公立文化施設)の中でもトップクラスを誇ります。
オーディエンスにとっても、演者にとっても双方に使い勝手がよいスケールは人気の理由の一つだと言えるでしょう。
2020年1月号の「きょうと府民だより」で西脇知事と俳優佐々木蔵之介さんの対談場所としてご紹介されていたので記憶に新しい方もおられるのではないでしょうか。
雨宮館長のお話によると、「開館して約30年の月日をファンの方とともに重ねてきました。大変喜ばしいことですが、今後、新しい可能性として若年層、学生との連携を考えています。」とのこと。 確かに、上京区は学生のまち。20~24歳が8500人(約10%)と最も多いです。(平成27年国勢調査 https://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000097204.html)
ALTI“アルティ”では約1年前、「ALTI未来時間」をコンセプトにかかげました。これは、王道のクラシック、声楽、ジャズ及び演劇の充実に加え、アルティならではの空間を最大限にいかしたパフォーマンスを取り入れるというものです。
例えば、ALTI“アルティ”のホールはユニークに変容します。電動昇降床機能により、舞台の高低差、座席を自在に変化させることが可能で公演内容に応じ、より魅力的で、臨場感溢れる舞台を楽しむことができます。
例えば、能舞台やランウェイにもなるのです。
このような空間で古典と創作を融合させた創作能「五月花(メイフラワー)」「黒船(ブラックシップス)」の初演も控えています。(2020年11月2日開演予定)
座席数を減らした対応で行うため、通常通りとはいきませんが、ぜひ多くの若者や留学生の皆様にもお越しいただきたい企画です。さらに、令和2年度上京区民まちづくり活動支援事業補助金を活用し、公演の奥深さを味わっていただくためのプレトークや若手能楽師との交流も図っていきたいと考えておられます。
ホール公演にとどまらず、カフェやロビーなどの空間がアートスペースとして活用され始めているALTI“アルティ”。空間をいかしたパブリックアートの作品からも感性を感じます。
さらに、カフェスペースの前田珈琲さんからは良い香りがしてきます。
天井の高い開放的なアート空間でゆったりとおくつろぎいただけます。
残念ながら、本格稼働は2020年9月以降となっており、それまでは公演が開催される時のみオープンされるとのこと。(定休日:月曜、10:00~18:00営業予定)
前田珈琲の小高店長も「ランチのテイクアウトもできるので、ぜひ地域の方にもご活用いただきたいです。」とおっしゃっていました。今後、アートとコラボレーションしたオリジナルメニューも生まれるかもしれませんね。
最後に、私が今回とても興味深かったのは、オーディエンスとアーティストは両翼であるということを踏まえ、バランスの取れた次世代の育成に力を入れておられることです。
企画運営理念である「温故創新」(伝統を継承しつつ革新、次代の文化を創造発信する)にとても共感できました。
また、同じく上京区にある2020年1月に開館50周年を迎えた、京都府文化芸術会館との特長を生かした相乗効果にも期待が膨らみます。
岡元麻有
同じ上京区で町家ギャラリーbe京都の館長をしています。大変有意義な取材時間でした。
子育て世代の私にとって、なかなか子連れでは入りにくい場所のひとつですが、今回お話を伺い、いろんなアイデアが生まれました。子連れクラシックや胎教に良い音楽、フラットな空間になるのならヨガとアイリッシュハープを組み合わせてみんなでゴロンとしながら癒されたり…。絵画と音楽と朗読、合唱、劇団公演など次から次へとわいてきます!上京区はクラシックやアート,伝統及び文化の全てが融合される住みやすい場所だと思います。