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子ども一人ひとりの個性と未来に向き合って〜学習支援・居場所づくり団体 満天〜

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中学生を対象に学習支援・居場所づくりを運営する同志社大学学生の佐々木晴哉(はるや)さん、岸本英恵(あやめ)さん、岩田真奈(まな)さんにお話を伺いました。


2021年12月、複雑な家庭環境で育ち自分を押さえ込んで過ごした経験から、子どもが自分らしくいられる場所の必要性を感じていた大学生の思いに触れて、「子どものために何かをしたい」と集まった大学生が立ち上げた学習支援・居場所づくりの団体「満天」。子どもたちが夜空の星のように自分らしく輝き、未来をつくり出していけるようにとの願いが団体名に込められています。

大学の先生の紹介で、地下鉄今出川駅そばにある「バザールカフェ」の協力を得て、「カレンハウス」と呼ばれる小屋に毎週水曜日に子どもたちが過ごす場を設けました。地域の中学校にチラシを届け、運営に協力する大学生も集まり、準備が整ったところで2022年8月に「満天」の活動が始まりました。

ところが、肝心の子どもたちがやってきません。1週目、2週目、3週目…今か今かと子どもたちの訪問を期待するものの、閑古鳥が鳴いています。ボランティアをしたい大学生たちは、心のどこかにモヤモヤした気持ちを抱えながら、子どもの居場所づくりについて学び、互いの自己紹介をして過ごしました。5週目になってようやく、バザールカフェのスタッフに誘われて子どもが2名やってきました。

「目の前に子どもがいない中、どうやってモチベーションを保てば良いのか、手持ち無沙汰に過ごす大学生ボランティアの期待に応えられず申し訳ないと悩みましたが、『子どもたちが来ないからと場を閉じてしまっていてはいつまでも始まらない』と軌道に乗せるまで踏ん張りました」と岩田さんは振り返りました。


活動を続けるうちに、少しずつ子どもが集まるようになりました。
毎週のように来る子もいれば、部活のない時に顔を出す子もいます。「貧困家庭の子どもたちが勉強の場を求めてやってくるだろうと予想していましたが、活動を始めると中国、ネパール、タイなど海外にルーツがある子どもたちが多く来ました」と岸本さん。居場所に対するニーズは、経済的な理由だけではないことに気づいたそうです。

両親の都合で来日した子どもたちは、それまで日本語を話したことがありません。中学校に通い、日常会話ができるようになっても、授業を理解するための学習言語を身につけるには、さらに時間がかかります。生徒も保護者も高校受験に向けて何をどのように準備すれば良いのかも分からず、様々な困難が伴います。

2022年の冬、12歳の時に来日した子どもが満天にやってきました。受験を控え、中学での勉強に苦労していた彼の話を聞き、国語、英語、数学のうち数学を重点的に勉強することに決めました。毎週水曜日だけでは足らず、勉強時間を週3日に増やし、ひたすら計算問題に取り組みました。 「志望校の過去の入試問題を解いて合格点が取れた時の嬉しそうな顔が印象的でした」と語る佐々木さんは、学習支援によって勉強に困っている子どもが抱える不安を取り除けたらいいなと思うようになりました。
「勉強につまずいてしまったことから将来への不安を抱き、希望が失われ、生きることを諦めてしまうことがあります。勉強しないといけない場所にしたくはないので、勉強をしてもいいし、遊んだり休んだりしてもいい。自分らしくいられる場所を目指して居場所づくりをしています」と佐々木さんは話します。

冬休みも春休みも、運営メンバーは時間をやりくりして毎週活動しました。
学校が休みの時こそ、家以外に自分らしく過ごせる場所が一つでもある方が安心だと思うからだそうです。「大学が休みになると地元に帰省する大学生も多く、なんとか運営メンバーを確保できたような状況でしたが、子どもたちが楽しんでくれるのが、そのまま自分たちのモチベーションにつながっています。」と岩田さんと佐々木さんは運営の苦労とやりがいについて語りました。

今年は、子どもたちと長く関わっていくための組織づくりに力を入れているそうです。大学生はいずれ卒業してしまうので、メンバーが変わっても「満天」という場が地域に根付き、子どもたちとのつながりが保てるようにしたいとのこと。活動を通じて子ども1人ひとりと真摯に向き合って、信頼関係を育んできたからこその思いを胸に、学習支援を通して共に生きる場を継続するという「満天」の挑戦は続きます。

学習支援・居場所づくりボランティアサークル満天
毎週水曜日 16:00-18:00
場所:バザールカフェ (〒602-0032 京都府京都市上京区岡松町258)
https://www.instagram.com/manten.2022
Tel: 08038637273 
Mail: doshisha.manten@gmail.com

カミングレポーター

亀村佳都
まちづくりアドバイザー
緑豊かなバザールカフェで、教科書を開いて勉強したり、庭でバドミントンをしたり、カードゲーム「UNO」で遊んだりする子どもたちは伸び伸びとしていて楽しそうでした。
また、たくさんの新入生が見学に訪れていて、後輩へと活動のバトンが受け継がれたらいいなと思いました。

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