上京ふれあいネット カミング

幸せに暮らせる地域づくりの核となる経営者集団になろう!

最新レポート一覧

私たち同志社大学政策学部政策学科1回生は、First Year Experienceという授業の一環で、2024年6月20日、「一般社団法人 京都中小企業家同友会」(以下「同友会」という。)の上京支部で活動されている3名の方にお話を伺いました。
同友会は各都道府県に設置されており、京都同友会では「幸せに暮らせる地域づくりの核となる経営者集団になる」という10年ビジョン(∼2025年)を掲げられています。自社の経営をよくすることだけではなく、中小企業として地域をよりよくすることにも取り組む団体として、地域への貢献度や提言力を増していけるよう、会員数を増やしているとのことです。


▲お話を伺っている様子

地域に寄り添う文房具店


▲有限会社湯谷文昌堂 代表取締役 湯谷好貴さん

最初に、京都市北区で文房具店「湯谷文昌堂」を営んでいらっしゃる湯谷好貴さんにお話を伺いました。湯谷文昌堂は、湯谷さんのおじい様から代々続く老舗文房具店です。創業時は近隣に子どもが多く住んでおり、子どもに関する商売をしたいという思いから始まったということです。創業当初は店頭販売のみでしたが、徐々に近隣の小学校へ物品販売を始め、現在は100件以上の京都市内の小中学校や高校、大学を回っていらっしゃいます。しかし、小さい店舗で文房具を販売する上で、多種多様化する商品への対応に限界を感じ、残念ながら6年ほど前に店頭販売は終了されたということです。


▲昭和40年頃の店舗

店頭販売は終了したものの、京都の夏の風物詩である地蔵盆で使用される曼荼羅(まんだら)等、入手困難な商品は、継続して店頭で販売していらっしゃいます。他のお店ではあまり売っていないローカルな商品の販売を通し、地域に寄り添う湯谷さんの思いを感じることができました。


▲曼荼羅

▲地蔵盆(数珠回しの様子)

京友禅の未来を考える


▲株式会社関谷染色 代表取締役 関谷幸英さん

株式会社関谷染色の4代目である関谷幸英さんにお話を伺いました。高度経済成長期の後半に生まれた関谷さんは、幼い頃から美術や芸術に触れてセンスを身につけていたそうです。関谷さんは大学卒業後、一度大企業に就職された後、株式会社関谷染色を継がれました。それを踏まえて関谷さんは、「大企業と中小企業にはそれぞれの良さがあり、大企業での経験が現在の仕事に活きている。」と仰っていました。
株式会社関谷染色さんでは、京手描友禅の技法を用いた結婚式や成人式などで着用する正絹の着物を製造しています。図案や色付けなど、全部で15もの工程があり、すべての工程は京都市内での分業制で行われています。いわゆる地産地消です。1つの着物を作るのに4、5か月を要するものあります。例えば生地に模様を染める染色技法の一つである手描友禅の工程だけで1か月以上かかるものもあり、時間がかかるものほど高価になるそうです。


▲手描友禅の様子

今も京友禅の伝統や技法は変わりません。しかしながら、関谷さんが生まれた50年ほど前と比較すると、今は50分の1の生産量まで減少しているそうです。ライフスタイルの変化から着物の需要はこれから先も回復の見込みが少なく、職人さんの高齢化や後継者不足が大きな問題となっています。そこで関谷さんは、眼鏡拭きやのれんなど、今の時代に合った着物以外の製品の製造に挑戦しています。また、国の垣根を越えてインドの民族衣装である「サリー」も和柄で作るなど、国際的な取組もされています。


▲京友禅で作られたインドの民族衣装「サリー」

挑戦することの大切さ


▲有限会社蓮祥 代表取締役 石井祥平さん

僧侶の方が身につける袈裟の制作をはじめ、カフェやお花の販売の事業をされている石井祥平さんにお話を伺いました。将来の道を考えていく中、石井さんは24歳の時、袈裟の作り手の人手不足を知りました。そして袈裟の事業に挑戦され、その楽しさに気づいて事業を行われてきました。作られた袈裟はお坊さんに送られるだけでなく、金閣寺でのお茶会の衣装や映画にも提供されています。また近年は禅の人気の高まりにより世界各国からの需要も増えているそうです。
さらに、経営されているカフェでは店内には着物を展示するなどにより、京都らしさを出してお客さんを楽しませているそうです。幅広い事業を手掛けている石井さんは「やりたいことをやりきる」という気持ちで様々なことに挑戦し続けています。事業において一番大切にしてきたことは、心を折れないようにするということで、大きな失敗があっても努力し続けることの大切さを教えていただきました。


▲カフェの内装

▲提携先のお寺

幸せな地域づくりを目指して

同友会の活動の一つとして、経営理念やビジョンなどを考えるためのセミナーの開催が挙げられます。このセミナーで他の経営者から直接話を聞くことで、明日からの経営に繋げていくそうです。このように同友会とは、中小企業を経営している方が協力し、お互いに高みを目指す団体です。事業内容が違う3名のお話を聞きましたが、幸せな地域をつくりたいという目標は同じだと感じました。

レポーター

今回お話をしてくださった3名は、それぞれ別の事業をしながら同友会に所属されていました。同友会の目指す幸せな地域づくりを心から楽しんでいらっしゃると感じました。素敵なお話を聞くことができて、充実した時間になりました。ありがとうございました。
同志社大学政策学部1回生 大崎 愛佳

今回お三方のお話を聞いて京都ならではの事業であったり、地域とのかかわりであったりを知ることができて興味深かったです。またこれからの大学生活を送るうえでの大切なこともお話いただいたので今後に生かしていこうと思いました。
同志社大学政策学部1回生 小川 生流

同友会の皆さんのお話を聞き、失敗を恐れず地域の人々のために動く行動力に感銘を受けました。私も大学生活の中で様々なものに触れ、やりたいことに能動的に取り組んでいこうと思います。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
同志社大学政策学部1回生 弓場 花蓮

今回、同友会の3名の方々のお話を伺って、同友会の方々の地域やお仕事に対する強い思いを感じました。私もこれから大学生活を送るうえで、同友会の皆様の意見を参考に、そのときそのときに自分ができることを全力で尽くそうと思います。貴重な機会をありがとうございました。
同志社大学政策学部1回生 篠田 優

ページの先頭へ
facebook
リンクページ
上京区役所 上京のまち歩きマップ 上京区140周年記念 特設サイト 上京区の市立小中学校一覧 西陣の朝市 にしZINE