正親まちの本箱プロジェクトは、「地域が本で繋がるといいな」という思いから上京区の正親学区で始まったプロジェクトです。
このプロジェクトは令和3年度上京区民まちづくり活動支援事業「上京!MOW部門」(※)の採択事業です。(※上京区役所では,上京区内で実施される区民やNPO、事業者等の方々の自発的、主体的なまちづくり活動に対して,活動初動期にかかる経費の一部の補助等を行う「上京区民まちづくり活動支援事業」を実施しています。「上京区基本計画2025」で掲げる将来像の実現に向け,上京区まちづくり円卓会議拡大会議「上京!MOW」等でつながった団体等が主体となり、地域やまちづくり等における様々な課題の解決に資する事業が対象となっています。)
代表である岩谷礼子さんを取材しました。
正親まちの本箱プロジェクトは、2021年9月岩谷代表を中心とした4名で立ち上げられました。日頃から何か面白いことはないかなとアンテナを張られている岩谷さんは、正親小学校の図書ボランティアを始めて14年目になられるなど、様々な地域貢献活動をされています。
コロナ禍で、小学校や地域の図書館が閉館せざるを余儀なくされたこと、開いていても読書ができないこと、外出もあまり自由にできないこと…こんな環境をどうにかしたい。正親小学校の子どもたちはみんな本が大好きだから、本に触れさせてあげたいな…。
そんな思いを持っていたころ、京都新聞である記事をみつけました。それは、まちなかに貸し借りできる小さい図書館(本箱)を設置し、まち歩きとともに本を借りてもらう活動をしている「東山まちじゅう図書館プロジェクト」についてでした。「私もこんな活動やってみたい」と興味を持ち、すぐに主催者の方に連絡をとり、ノウハウを教えていただきました。そして、ここ、正親学区でも、本の貸し借りができる本箱をまちなかに設置し、地域の皆様に本に親しんでもらい、地域を本でつなげていく「正親まちの本箱プロジェクト」を始めるに至りました。
正親まちの本箱プロジェクトは、文庫さんを募り、文庫さんのお宅や商店に小さな本箱を置いてもらうスタイルです。軒先に設置された本箱は文庫さんごとに名前が付けられており、オリーブ好きの岩谷さんは「オリーブ文庫」。通りの角にある文庫さんは「角ノ文庫」とユニークな命名も楽しいです。
会の発足後すぐに集まった8軒の文庫さんは半年足らずで10軒に増えました。本箱に置かれる貸出ノートには、やっと字を書けるようになった子どもから、ご近所のご年配、常連さん、最近引っ越してきた親子などたくさんの名前があり、楽し気な本の感想も記されています。通りかかった人が本を手にとっておられる様子を見るのが嬉しいと語る岩谷さん。「貸出ノートを見るのが楽しみです。一度も本箱の出し入れが面倒だなんて思ったことがないです。」とおっしゃっていました。
まだ始めたばかりで手探りの部分も多く、大きな課題はないですが、残念ながら貸し出した本が返ってこないということもあります。ですが、この活動をラジオで紹介された際に、リスナーさんから本を寄贈したいと連絡がきたり、文庫さんをやりたいという申し出があったり、近所の方が声をかけてくれたりと、やりがいにつながる出会いがたくさんあるそうです。
今後は、コロナ禍でできなかった文庫さんとの交流会や本箱をめぐるスタンプラリーなどイベントもやりたいと、展望がいっぱいの岩谷さん。そして、春休みは児童書を中心に置くなど工夫をしていますが、このままでは本のネタが尽きてしまうので、各家庭に眠る本の寄贈も呼びかけていきたいと考えておられます。
岩谷さんの目が届き、地域の方の顔がみえるためにも、正親学区に限定して実施している「正親まちの本箱プロジェクト」ですが、他の地域でもどんどんやってみて欲しいと、おっしゃっていました。「この辺、歩いてたら本箱がいっぱいあるなー」そんな地域づくりを目指す岩谷さんは、バイタリティーのあふれる元気いっぱいの方でした。
■正親まちの本箱プロジェクト Facebook
https://www.facebook.com/seishin.machinohonbako/
室町小学校PTA会長をする中で、地域の存在の大きさを知りました。そこで、室町小学校で図書ボランティア立ち上げたばかりなので、興味がありレポーターに初挑戦しました。楽しいこと、やってみたいこと絶対実現するんだと行動力抜群の岩谷さんに元気をもらい、私も地域貢献できる人になりたいなと目標ができました。