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地域に住む子どもたちを支える「子どものよりよい育ちを支える会」

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子どもたちが自主的に育つ過程を「支える」ことをモットーに、堀川商店街を拠点として活動を広げている団体「子どものよりよい育ちを支える会」。

私たち同志社大学政策学部1回生4名は、この度、「子どものよりよい育ちを支える会」の代表者である西村さんへ、同会の主な活動内容や、活動を通して西村さん自身が感じられたことに関するインタビューを実施しました。

名前に込められた思い

「子どものよりよい育ちを支える会」という印象的な名前は、西村さん自身の経験から名付けられたそうです。西村さんは、小学校の教師をされていた頃、子どもたちに「教える」「導く」「させる」ことに全力を注いで来られました。しかし、退職された後、学校の外で子どもたちと触れ合う中で、教えなくても子どもたちが自分一人の力で物事に取り組もうとする姿や、無理にさせなくてもやろうとすることに気づいたそうです。この経験から、西村さんは子どもたちを「育てる」のではなく、子どもたちの「育ちを支える」ことを活動のスタンスに据えるようになり、この名前を付けられました。

活動を始めたきっかけ

西村さんがこの団体を設立されたきっかけは、植松努さんの講演会「思うは招く」でした。幼い頃から物作りに突出した興味があった植松さんは、先生から、「ロケット開発などどうせ無理だ」と夢を否定されていました。しかし、「自分が好きなことだからできる、やりたい」ということを貫いた植松さんは、現在、社長を務める傍ら、ロケット開発の事業に携わっておられます。この方の講演会を聞いた西村さんは、植松さんの枠にとらわれず自分自身の可能性を信じ抜く生き方に、感銘を受けたそうです。そして、西村さんは、今まで自分の可能性に自分で蓋をしてしまっていたことに気づき、自分もやりたいことをやろうと思い立ったとおっしゃっていました。

活動当初の苦労

このような経緯で始まった「子どものよりよい育ちを支える会」ですが、西村さんは、設立当初、人を集めて活動を進めるためには、リーダーとして一体何をするべきなのかと大変悩んだと当時を振り返ってくださりました。また、ご自身について「自分は人をひっぱるタイプではない」と話す西村さんは、一緒に活動をする仲間の方たちへ指示を出すことについても抵抗を感じ、苦労をしたそうです。そして、最初は西村さんの指示を仰いでいた仲間の方々も、次第に主体的に動くようになり、今ではチームごとに様々な企画を提案してくれるようになったことがとても嬉しいと話されていました。


堀川こども団の活動

活動内容

ここでは、「子どものよりよい育ちを支える会」の中でも特に力を入れておられる4つの活動について紹介します。
1つ目は、「KYOTOロケット部」です。「KYOTOロケット部」では、植松さんの会社で作っているロケットと同じモデルのペーパークラフトロケット使用し、子どもたちが自分の力でロケットを作って発射させます。子どもたちは、ロケット作りに失敗しても、「次はこうしよう」と改良しながら再び挑戦をします。失敗やチャレンジがしにくい社会の中、 「失敗は大切なデータ」という植松さんの言葉を伝えたいという思いで、「KYOTOロケット部」は開催されているそうです。
2つ目は、「堀川こども団」です。「堀川こども団」は、子どもが自分たちの居場所を作り、地域を好きになるようになって欲しいという思いで作られたコミュニティです。
3つ目は、「こども基地HOPE」です。「こども基地HOPE」は、主に火曜日の午前中や長期休暇などを利用し、大人と子どもたちが一緒に過ごす時間を設定したり、子どもたちがやりたいことを大人が一緒に行うという取組です。
4つ目は、「cafe HOPE」です。「cafe HOPE」は、対話の会の開催や、キッチンのレンタルを通じて大人が集まる、"大人基地"のようなカフェです。このカフェは、ただのカフェだけではなく、シェアスペースも運営されています。

堀川商店街を拠点にした理由

これらの活動は、主に、堀川商店街を拠点に行われています。なお、西村さんが、堀川商店街を活動の場に選ばれたのには、いくつかの理由があります。

1つ目の理由は、商店街の「いつも開いていて、誰かいる」という状態に魅力を感じるという点です。近年、保護者の仕事の忙しさから、家で1人のお留守番をせざるを得ない子どもたちが増加しています。そうした子どもたちも、商店街に来ることで、"知り合い"に会えるため、寂しさを感じずに過ごすことが出来ます。また、この活動を通して商店街に活気が戻ることや、子どもたちの保護者が商店街に足を運ぶことによって生まれる経済効果にも、西村さんは期待を寄せています。

2つ目の理由は、「大人が見守る場所は、子どもたちが安心して過ごせる」という点です。西村さんは、商店街主催の堀川祭に参加した際に、「子どもたち同士がお金を握りしめて商店街へ行き、それを大人が見守りながら楽しんでいる」という光景を目にし、「なんて良い場所なのだろう」と思われたとのこと。このことから、堀川商店街を活動の拠点に選ばれたそうです。
また、この堀川商店街がある上京区に対しては、子どもたちが主体的に活動でき、なおかつチャレンジや失敗ができる場や機会を増やして欲しいとお話されていました。


こども基地HOPEの活動

西村さんの考え

"子どもを学校に合わせる"という概念が払拭できていない学校においては、先生も子どもも窮屈な思いで毎日を過ごしています。そうした状況下の中で、西村さんは、「この会を通じてみんなをほぐしたい」というような心持ちで活動をされているそうです。実際にこの会に参加して、不登校の子どもが登校のキッカケを掴み、 自分のペースで学校に通えるようになったこともあるようです。
また、西村さんは、ご自身の活動を絵本の「スイミー」に例えながら、「普段は個々人で自由に活動していても、重要な局面では、集まって一つになる」とお話されていました。そして、自分自身は、「スイミー」で言うところの、一つになった集団の「目」でありたいと考えているそうです。
西村さんが団体を設立された当初においては、明確な目標が見えにくく、周囲から疑問や批判が出ることも多くあったとのことです。しかし、3年もの間、自身が集団の中で「目」として動き続けてきたことにより、現在はそのような疑問や批判を「共感」に変えることが出来るようになってきたと教えていただきました。「マイナスの言葉も、この先きっと変わるだろうから怖くない」と話されている姿が心に残りました。

レポーター 同志社大学 政策学部1年生

今回のインタビューを通じて、西村さんは、前向きな考え方をされるとても素敵な方だと思いました。コロナ禍で活動が制限され、子どもたちと直接会えなかったときも、「顔を合わせて話すこと、一緒に場を共有することの大切さを再確認した」「会えない間に成長している子どもたちにたくましさを感じた」と、決して状況を悲観的に捉えるのではなく、そこから得られたことをポジティブに語っておられました。また、活動の中では、「どうせ無理」というマイナスな言葉ではなく、「だったらこうしてみたら?」といったような常に前向きな声掛けを意識しているというお話をいただき、私たちも普段の生活でそのような考え方を取り入れていきたいと感じました。

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