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西陣織で「これな~んだ?」―触って学べる絵本を制作

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富坂儀一郎さんは西陣織の綜絖(そうこう)という経糸(たていと)を上げ下げする仕組みを整える仕事に永年携わられてきました。店内には西陣織の糸巻きや、道具が並んでいます。
いつも明るく、アイデアが豊富な富坂さんは、修学旅行生や観光客の方に西陣織を活用したがま口作りのワークショップを開催するなど、伝統工芸の体験の場を提供されてきました。さらに、西陣織のスマホケースを作り、メディアでも取り上げられるほど話題が尽きないユニークな方で、コロナ禍には病院に防護服やフェイスシールドを寄贈するなど、まちの活性やコミュニティに欠かせない存在です。

そんな富坂さんが新たに西陣織で絵本を作ったというので、学生レポーターさんと一緒に取材させていただきました。

絵本は、触って何の動物かを考えるという知育絵本になっており、ゾウやキリンなどの動物のシルエットが金襴で切り抜かれています。
タイトルは「これな~んだ?」で、ページをめくると計8種類の動物が登場します。

富坂さんは、「最初は、孫の喜ぶ顔が見たくて何か面白いことができないかなぁという思いで作りましたが、子どもたちが西陣織の金襴に触れる機会が減っていることを受け、触って確かめることができ、親子の会話が生まれる温かい絵本にしようと思いました。」と制作への思いを聞かせてくれました。

文字を生地に印刷しようとしてプリンターを詰まらせてしまったり、何度も試行錯誤をして作られた絵本です。苦労は尽きませんでしたが、手に取ってくれた方が笑顔になってくれることが何よりだという温かい思いが伝わってきました。
この絵本を通じて、子どもの想像力が高まり、親子のコミュニケーションが深まることを願います。

また、この絵本は、触って楽しむものなので、文字は最小限です。
視覚に障害がある方や外国の方にも楽しんでもらいたいという思いも込められています。
1冊は社会福祉法人 京都ライトハウスに贈られ、その後、富坂さんの意向もあり、ウクライナ語に翻訳したものをキーウから避難する親子に贈ることが決まりました。

8月10日(木)、国際交流会館で絵本の贈呈式が行われました。
林館長をはじめとする会館スタッフの方々も同席され、温かい贈呈式となりました。

富坂さんからは、絵本に加えて、甚平とブーブークッションがプレゼントされました。
3歳のフリブ君は絵本が好きで、すぐに手に取って見ていました。
お母さんは甚平をプレゼントされた時に少し涙ぐまれている様子でした。

この絵本を通じて親子の会話が生まれ、安心した笑顔の時間を少しでも過ごしていただければと願うばかりです。
国際交流会館には、京都市と姉妹都市である9箇国の言語に翻訳された絵本が設置されているそうです。

さらに、この絵本は上京区役所子どもはぐくみ室にも寄付されました。
健診などで訪れる区民の方々に見ていただくことができます。ぜひお手に取ってご覧ください。

レポーター 岡元麻有

1冊の絵本からたくさんの人の輪がつながっていき、とても心温まりました。

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