長い歴史がある京都には、時代とともに変化して、現代へと引き継がれてきたものがいろいろあります。京都の中心部を流れる「堀川」もそのひとつ。今では憩いの場として親しまれていますが、平安時代には貴族の邸宅への引き水であったり、平安京の造営時は材木運搬用の運河だったといいます。また、明治から昭和の頃は、友禅の職人たちが川に入って染料や糊を洗い流す光景も見られました。
しかし、昭和30年代の浸水対策によって大幅に改修、それからしばらく川の水は枯れたままでした。そんな堀川に自然を取り戻そうという動きが本格化してきたのは、平成になってからのことです。
「今はほたるを飛ばそうとしてるんですけど、ちっちゃい時は飛んでませんでした。でもカニがおったり、ちっちゃい魚が泳いでたり、そんなん取って遊んでたんですわ」と語ってくださったのは、小川学区に住む「堀川ほたるプロジェクト」代表の藤田美雄さん。約60年前の堀川は今とはずいぶん違ったようですね。
8月に行われた「京の七夕」堀川会場では、一条戻橋周辺でライトアップイベントが行われ、藤田さんらが中心となって堀川にほたるを飛ばすプロジェクトをPR。水路を照らすほのかな灯りがほたるの光のようで、静かで落ち着いた雰囲気が印象的でした。
そのイベントでは、「妖怪を探そう」をテーマに傘や妖怪の影絵などを随所に配置し、水路沿いを楽しく演出。このようなイベントがどうやって実現したのか。藤田さんに少しお話をうかがいました。
「普段は戻橋周辺の清掃や、ホタルを飛ばすための準備を中心に活動しているんですが、京の七夕イベントではどんな展示をすればいいか、毎年悩んでたんです。でも、去年から「都ライト実行委員会」の方に協力していただけるようになりました。みなさん、大学生の方たちですからね。アイデアが豊富ですし、行動力もあって、おかげで素敵なイベントになりました。」
5月に行われたほたる観賞会では、例年以上に数多くのホタルが飛んだとか。ライトアップもうまくいき、いろんな方が一緒になってプロジェクトを進めてきたことが、それぞれいい結果に結びついているそうです。来年もまた、きっとたくさんのほたるが飛び、夜の堀川を美しく照らしてくれるのではないでしょうか。初夏の訪れが楽しみです。
京都いいとこマップ編集部 渡辺
創刊12年目を迎える京都の観光情報フリーペーパー「京都いいとこマップ」(奇数月1日発行)。そのイチ編集員が上京区のイベントや人をご紹介していきます。