(聞き手)「きっかけ食堂」→(話し手)「studioあお」
2017年10月、復興支援を行うため、大将軍商店街のイベント「百鬼夜行」にて「studioあお」と「きっかけ食堂」が共同出店しました。このコラボを機に、相互インタビュー形式でレポートしていただきました。
今回の取材先は、放課後教室「studioあお」の代表の川村哲也さんと、そこに通っている生徒さんたちです。
「studioあお」は、天神川沿いの一条通を少し南に下がったところにあります。はじめに、どんな教室なのかなどを、川村さんにお聞きしました。
――川村さんはいつ頃から教育と接点を持たれたのですか??
「2年前に完全ド素人から独立開業しました。元々は、広告プランナーを目指していましたが、6人兄弟のせいか元々子どもが好きで、いつか教育事業に関わりたいとは思っていました。はじめは、広告業の方に入社したのですが思ったようにならなくて、子どもと関われる仕事を、と考えたら結局教育事業になったんです。」
――なるほど、そんな「studioあお」では、どんな授業をされているんですか?
「表現する、発信するなどのアウトプット(成果・結果)をベースとした授業ですね。理念として、社会と教育のシンクロ(同期・一致)を目指しています。社会で活躍できるような人を育てるためにこそ、教育があるはずだと僕は思うんですよ。
だから、社会に出た時に役に立つことができたら良いと考えています。学校って、知識を得るというインプットの場面ばっかりじゃないですか。そこで、プログラミングの授業や、商売に関してお金について学んだあと、自ら考えて行動するというプログラムを行っています。今回「百鬼夜行」(大将軍商店街でのイベント)では、「きっかけ食堂」さんと行った東北物産販売や、生徒が自分で作ったアクセサリーなどを売っていました。他にも上京区に住む大学生と関わったり、お祭りに出店しています。
また、モチベーション(目的意識・やる気)教育も重視しています。テクノロジーが発展した世の中では、個人の差がモチベーションによって開くと考えています。だからこそ、生徒のやりたいことをベースにオーダーメードでカリキュラムを作っています。」
――そんな「studioあお」では、子どもたちへの対応はどういったこと意識しているんですか?
「子どもたちは、わからないと立ち止まり、こちらに助言を求めてきます。そんなとき、「studioあお」では『どうしたら良いと思う?』と尋ねますね。一般家庭では、『ああしなさい』とか『こうしなさい』って言う方もいるんじゃないでしょうか?
過剰な提案や、否定をしないことを意識しながら、どれだけ子どもの気持ちを動かせるかが、モチベーション教育に必要です。スタッフも子どもの感情の機微を見逃さず、子どもに自ら考えさせることは徹底して意識していますね。」
――スタッフにはどんな人がいるのですか?
「スタッフは基本的に大学生でみんな一芸を持っている人たちです。子どもたちに良い影響を与えてほしいので、スタッフには、一見してわかりやすい魅力が欲しいと思っています。先ほど言ったように、感情の小さな動きを察知することは非常に重要で、学生のスタッフ採用の際は、その能力があるかも見ています。」
――子どもたちの変化した部分などはありますか?
「子どもたちの発言が批判思考から提案思考に変わって、積極的に行動に移すようになってきています。例えば、『あの人が嫌い!!』で終わるのではなく嫌いな人がいるとき、どうするかを考えるようになっています。ただ嫌いなだけでなく、どうすれば解決できるかといった行動の選択肢が増えています。
実は成績も上がっているんです。それぞれのプロジェクトを行うことで、何度も失敗と改善を行うことで失敗の耐性がつき、1回の失敗で勉強を諦めることが少なくなっています。
また文章を書いたり、資金を集めようとしてアウトプットの方法をそれぞれが持ち、自己表現の方法をたくさん持つようになりました。批判でなく行動に移すポジティブな考え方、また行動を起こす術を持っているから、インプットの質が高まりましたね。『先生これやっとくで!』となんでも自分でやるようになってくるんですよね。」
――これからの「野望」などありますか?
「教育と社会のシンクロ率を上げたい。そのために『教育のアップデート文化』を日本に根付かせたいと思っています。社会の変化に応じて教育も変化していくような社会に、日本全体がなったら良いなと思っています!」
筆者が「studioあお」に入ってみての感想。
教室に入った時にまず驚きました。生徒がプログラミングでレゴの機械を動かしていたり、数学をやっていたり、携帯のカバーを製作など様々なことが行われているんです。正直、生徒が座って宿題やプリントなどやっていて入りにくい雰囲気なのかなと緊張していたのですが、ワイワイと楽しげな雰囲気で、「今度こんなことやりたいんだけど」や「どうやったらできると思う?」といったような言葉がたくさん飛び交っていました。
それぞれ生徒さんと話していても、やりたいことがどんどん出てくるんです。先生、生徒がポジティブな空間を作り出している様を肌身で感じました。非常に楽しい時間でした。ありがとうございました!
中空幹太郎
富山県出身、立命館大学4回生です。大学では、社会学を専攻しまちづくりや環境問題などを中心に勉強をしています。スタディーツアーに参加し、それがきっかけで「きっかけ食堂」へ入りました。他にも、上京区を中心に、食に関する活動を行っています。活動範囲は様々で、自分の好奇心が向く「ワクワク」を大事にして活動しています。趣味は釣りです。「きっかけ食堂」でも多くの魚をさばくため、その技は日々上達しています。