(聞き手)「studioあお」→(話し手)「きっかけ食堂」
2017年10月、復興支援を行うため、大将軍商店街のイベント「百鬼夜行」にて「studioあお」と「きっかけ食堂」が共同出店しました。このコラボを機に、相互インタビュー形式でレポートしていただきました。
2011年3月11日が何の日か覚えていますか?
この日東日本大震災が起こり、一瞬にして多くの人の命を奪いました。
また多くの人がそれまで通りの生活を続けることができなくなりました。
「時が経っても東日本大震災を忘れないために自分たちにできることはないか」と考えた京都の学生が上京区で始めた活動について取材してきました。
きっかけ食堂とは大学生のある想いから生まれたお店です。被災地支援のボランティアとして東北にスタディーツアーに行った大学生が、「被災地はまだ復興していない」と肌で感じ、自分の住んでいる京都からでも支援できることはないか考えた結果オープンしたお店です。
東日本大震災の月命日である毎月11日に上京区にある日替わり店長のお店「魔法にかかったロバ」で出店しています。東北について考える「きっかけ」にしてもらう場所にしたいという想いから「きっかけ食堂」と名付けました。
東北について考える「きっかけ」を作りたいという想いをかなえるために、店内ではどのような工夫があるか紹介します。
①食材やお酒は東北産
店長さんたちは、旬の食材を東北の生産者さんから仕入れて、調理し、提供。
実際に現地に行って生産者さんとのつながりを作り、毎月食材やお酒を送ってもらっているそうです。
取材に行った11月の旬の食材は新鮮な牡蠣でした。メイン料理は毎月変わるため、その時にしか食べられません。
②きっかけをつくる時間
きっかけ食堂では、東北について知ってもらうきっかけをつくる仕組みが導入されています。
その名は“きっかけカード”
「きっかけカード」に話したいことを書き、毎時間11分から11分間、お互いに語り合う企画をしています。
この紙に東北・熊本について考える以外にも、話したいテーマも書けます。そのため、震災のこと東北のことをあまり知らなくても、違うテーマからもつながることができます。
きっかけ食堂の想いに共感し、一緒に活動している人が増えています!
きっかけ食堂の店員さんは全員大学生です。
私が取材に行ったときは2代目でした。2017年の4月から2代目に引き継がれたそうです。
初代は立命館大学の3人で運営していましたが、現在の2代目は大学も学年もバラバラな6人で運営しています。きっかけ食堂は初代の想いに共感した大学生によって引き継がれています。
また、同じ想いを持った外部の人とも一緒に活動しています。
この写真は10月の北野白梅町で行われた「百鬼夜行」というお祭りです。
上京区にある学習教室「studioあお」の小学6年生と中学1年生の生徒とコラボ出店をしました。
彼らは「あお二才ファンド」という基金を作り、次に震災が起きた時いち早く対応できるようにと事前に募金を貯めておくという活動を行っています。きっかけ食堂と同じく「東北の現状をもっと知ってもらう機会をつくりたい」という同じ想いを持っていたことから、お祭りへの出店が決まりました。
他にも防災イベントを実施したり、子ども食堂とのコラボなどもされているそうです。
きっかけ食堂の想いを知り、共感して一緒に活動している人が増えてきています。
「東北について考えるきっかけを作りたい」
この想いを形にするために毎月出店し、積極的に外部へのイベントも行っているということです。
今後の展望として一番にあるのは、「きっかけ食堂を継続させていくこと」。
他にも東北へのツアーや生産者さんを京都に呼びたいなど色々思考しているようですが、すべては「東北について考えるきっかけ」を作りたいという想いを形にしたいからだと思います。
想いを形にし続けている「きっかけ食堂」
毎月11日に、日替わり店長のお店「魔法にかかったロバ」で出店されています。東北を考えるきっかけや、そういったことを考える人たちとつながりたい方、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
<「カミング」より補足情報>
カミング記事 →「若者と社会をつなげる日替わり店長のお店~「魔法にかかったロバ」代表、山崎達哉さん~
(http://www.kamigyo.net/public_html/person/zukan/20170928/)
伊藤亜由美
立命館大学産業社会学部4回生。
特別支援教育に興味を持ち、学校では教育と福祉を専攻。
様々な教育の現場を見るために、学習塾でのアルバイトや学校ボランティアなどの活動を多数経験。現在は「モチベーション教育」をテーマとした学習教室「studioあお」にてインターン生として活動中。「研究目的での大学進学を増やす」を目的とする大学進学推進部にて、授業プログラムの開発を担当している。