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【ありがとう!京都こども文化会館「エンゼルハウス」】

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商店街から聞こえてくる活気ある声、和菓子屋さんや八百屋さんのどこか懐かしいにおい。
京都こども文化会館はそんな北野商店街の一画にあります。

昭和57年に京都府と京都市が相協力し、青少年の健全な育成、文化芸術を創造し発表できる場所として、京都市上京区に開館されました。特に30~50代の上京区民は一度は訪れたことがあるのでは?というほど長く愛されてきた場所です。愛称はエンゼルハウス。
大ホール(収容人員608人)・小ホール(収容人員80~100人)・創造活動室(収容人員30人)で構成され、音楽会、演劇、バレエ、映画など青少年の文化的なイベントや教室に使用されてきました。

レポーターの私も小学校のPTAコーラス交歓会の舞台として熱唱させていただいたことは記憶に新しいです。

残念ながら、2020年11月、建物の老朽化で安全面が確保できなくなったことを主な理由として、子どもたちの豊かな創造性を育んできた歴史に幕を下ろすこととなりました。

北野商店街振興組合 代表理事の片桐さん、理事の益川さんにお話を伺ったところ、かねてより老朽化は懸念されてきたそうで、「いよいよこの時がきた」というのが閉館を知った時の印象だったそうです。

そこで、地元商店街として、「ともに歩んできたエンゼルハウスに何かできることはないか」を考え、エンゼルハウスゆかりの写真や、思い出の品を市民から広く募り、1カ月間アーケードに展示することが決定しました。10月18日(日)にはエンゼルハウス前にてお別れイベント「ありがとう!こども文化会館」も開催されました。

エンゼルハウスの最後に足を運んでもらい、北野商店街や仁和学区、地域活性につなげていこう!という温かい取組です。当初は大規模なイベントを計画しておられましたが、コロナ禍での開催となるため、小規模にとどめつつ、想いがたくさん込めたイベントを企画されました。

映画のような文字盤の時計も趣があり「バックトゥザフューチャーみたいでしょ。」と片桐さん。
偶然にも台風が来ていた時期の取材でしたので空の様子もタイムスリップしてきそうです。
残された市電電車だった時代の足跡を残す銅板も趣があります。

1時間ごとに見られるからくり人形時計もファンにはたまらないしかけです。

会館玄関前のテラスの道路側は「竹取物語」のかぐや姫とおじいさんとおばあさん、会館側には「西遊記」の孫悟空や三蔵法師ら一行の人形が、シンセサイザーの音楽にのって動きます。偶数時にかぐや姫、奇数時に孫悟空たちが登場するそうです。

時の流れとともにエンゼルハウスを見守ってきてくれた小人たちもどこか寂しそう。
少し寂しさは残るけれど、温かく見守ってくれているようです。
こうして取材をさせていただくと、普段あまり見ることのなかった細部にまで目がいくようになり、愛着が増します。

閉館後の予定は未定だそうですが、大切にされてきたものがひとつでも後世に残り、思い出とともに受け継がれていってほしいと思います。

▲『ありがとう!京都こども文化会館(2020年10月18日開催)』の様子

レポーター紹介

岡元麻有

上京区で町家ギャラリーbe京都を企画運営しております。
京都こども文化会館は文化、芸術を学び、発表し、交流する地域の貴重な場だったと思います。かかわってこられた全ての方々に感謝し、次の世代に思いを受け継いでいってほしいと思います。

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